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2019年
7月18日(木)
09:35

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県生コン工業組合、金子秀一新理事長に聞く 完全週休2日実現へ建設業界と足並みそろえ 集約化が必要な地区も
 県生コンクリート工業組合の新理事長に、盛岡カイハツ生コンクリート㈱代表取締役の金子秀一氏が就任した。東日本大震災からの復興事業がピークアウトし、生コン需要の長期的な減少が見込まれる中、金子理事長は、地域によっては将来的に工場の集約化を検討することも必要と指摘する。生コン業界における働き方改革については、「顧客である建設業界と足並みを揃えながら、完全週休2日を実現したい」と展望している。
 ―東日本大震災の復興事業への対応を振り返って、どのような課題があったか。
 一番の課題は骨材の調達。宮古地区では復興生コンクリート工場(復興プラント)を誘致したが、地元からの骨材調達は1万立方㍍が限界であり、北海道の苫小牧および福島県の小名浜からの調達で対応した。現在でも復興プラントは全量が県外産、宮古管内全体でも約5割は県外から調達している。釜石も同様に、苫小牧から一部骨材を調達している。
 また、宮古では共同販売が行われていなかったので、2012年に「宮古区域生コンクリート卸商協同組合」を立ち上げた。一部で品薄感は生じたものの、地元工場と復興プラントからの安定供給に貢献できたと思う。
 ―震災復興以外でも、短期間に集中的な需要が生じている地域があるのでは。
 北上の東芝メモリ向けの出荷でも骨材不足が生じ、県外品も調達して対応した。台風10号の復旧工事は積みブロックの裏込めなど少量の現場が中心であることに加え、件数が多くて広範囲。施工会社との懇談会を開き、ご理解いただけるよう努めている。
 ―ミキサー車不足も課題になっていた。
 特に宮古と釜石の両地区では、県内外から支援を受け対応した。最盛期には東北だけでは間に合わず、宮古の復興プラントには京都から10台以上の応援をいただき、盛岡でも15台ほど増車した。現在は台風10号の復旧工事に対し、盛岡や宮古などから応援している。
 ―復興需要が一段落しつつある中、宮古市内の2カ所に設置した復興プラントは今後どうするか。
 津軽石の復興プラントは、20年3月で撤退の予定。川井に設置した第2工場については、宮古盛岡横断道路の進捗状況に合わせて、21年3月をめどに撤退を考えている。
 ―今後の需要動向をどのように見るか。
 19年度の県内全体の生コン製造量は、前年度比8%ほどの減少を見込んでいる。復興需要はピークアウトしたものの、久慈では三陸沿岸道路の工事が本格化し、宮古盛岡横断道路も当面は堅調。沿岸南部や気仙では需要がほぼ終了しているため、宮古以北の道路事業の進捗に伴い、今後は県内全体で毎年度10%ペースで減少していくと見ている。
 ―将来的に県内全体の製造量が100万立方㍍を再び割り込むことも予想される。集約化を今後進めていく考えは。
 県内にある生コン工場の6割以上は稼働率が50%にも達しておらず、出荷の大半は午前中という工場も多い。突発的な需要に対応できても、基本的には過剰設備の状態にある。それでも1工場当たり2万5000立方㍍程度の製造量をキープできれば、体力は維持できる。盛岡では阿部前理事長のもと、東北地区の中でいち早く工場の集約化を進め、1工場当たり2~3万立方㍍程度の製造量は確保している。
 ただし県南部は地区ごとに需要の差が大きい。北上は民間の設備投資が当面堅調だが、一関は誘致企業の撤退など民需が低調であり、大型の物件も減っている。ILC誘致への期待はあるが、現状の製造量は地区全体で7~8万立方㍍程度。1工場当たりの製造量が1万5000立方㍍を割り込むと状況は厳しくなることから、将来的には集約化の検討も必要になるだろう。
 ―集約化により空白地帯ができることが懸念される。
 実際に西和賀町では、プラントの閉鎖に伴い空白地帯が生じそうになった。現在は盛岡からの供給で対応しており、県当局にも事情を説明して輸送費の割高分など価格面でのご理解をいただいている。
 将来的に、この地区で大規模な需要が発生した場合、必要に応じて宮古の復興プラントのような形を取ることも考えられる。地元企業による対応が大前提だが、生コン工場の開設には莫大な初期費用がかかるため、工組として必要な対応を図っていきたい。
 ―今年度で40年目となる品質管理監査制度では、B判定、C判定がほとんど無いほど精度が上がっている。今後の課題は。
 本県の監査制度は全国に先駆けての取り組みであり、県内生コン工場のレベル向上は、品質管理監査制度の成果の一つと自負している。JISの立ち入り検査があっても不合格になったケースはなく、他県以上のレベルを保持していると思う。
 ただし18年度は、コンクリート主任技師の常駐に不備がある工場がごく一部で見られた。なんとか資格取得者をキープしてほしいと思っている。
 ―生コン業界は製造業であり、時間外労働規制の適用など働き方改革関連法の適用対象となっている。顧客である建設業との連携は。
 上部団体である全国生コンクリート工業組合連合会と全国生コンクリート協同組合連合会(全生連)では、働き方改革委員会を立ち上げて検討を進めている。全国建設業協会との間で働き方改革や週休2日制に関する協議も行っており、近く一定程度の方向性は出るものと期待している。
 ―若年者の確保については。
 弊社は過去10年間で5人ほど採用しており定着率も高いが、企業ごと、地域ごとでは、若年技術者の確保にそれぞれ課題を抱えていると聞いている。
 盛岡では数年前から、繁忙期以外には土曜日の当番工場を決めて、5工場のうち1~2工場が稼働し、残りの工場は交替で休むよう工夫している。いずれ建設業界と足並みをそろえて完全週休2日を実現して、若年者が入りやすい環境づくりに努めたい。
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