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2023年
11月30日(木)
14:24

コラム集

●つむじ風 11月30日
 国交省や北海道、東北6県などは先ごろ、北海道・東北地方ブロック土木部長等会議を秋田市で開催。時間外労働の上限規制に向けた取り組みと残された課題などを議題に、意見を交わした▼同会議では、北海道・東北ブロックにおける24年度の共通目標を設定。全ての発注機関が週休2日工事を発注者指定方式で発注することや、業界団体との連携による統一的土曜閉所日の「毎週」に向けて取り組みを推進すること―などを合意した▼本県側からは、建設企業に対するバックオフィス業務(事務管理業務)の効率化の支援事業を23年度から実施していることを国や他自治体に説明。写真整理など、バックオフィスDXを推進するためのシステムの導入費・開発費を補助メニューとした点を紹介した▼国と自治体は、来春から始まる時間外労働の上限規制を前に、発注者と労働局・労働基準監督署とのコミュニケーションの重要性も確認。建設業者が安心して地元で仕事を続けていけるよう、各種支援制度の浸透、関係機関との意思疎通がより一層重要になりそうだ。
●つむじ風 11月29日
 型枠、鉄筋、鳶。ものづくりには欠かせない3業種。県立黒沢尻工業高校土木科2年生は、3業種を体験する実技講習会を開き、生徒らは3業種の大切さを学ぶとともに、ものづくりの魅力や楽しさを再発見した▼講習会は、㈱赤坂工務店と㈲平塚工務店、㈱佐々栄建工が企画。生徒らは、教室の一角にある60㌢四方の柱をつくることを想定し、鉄筋を組み上げ、コンクリートを流し込むための型枠を設置。それらの作業を支えている足場の組み立てにも挑戦した▼専用工具やハンマー、ノコギリなどのこだわりの道具。それらを収納する腰道具を軽々と扱っているが、実際に生徒に手渡してみるとその重さに驚いていた。生徒らのちょっと危なっかしい手つきにひやひやしながら、講師を務める3社の代表者や若手職人が丁寧に教えている様子が印象に残っている▼生徒らは、型枠、鉄筋、鳶という言葉は何度も耳にし、イメージもできていたと思う。生徒から話を聞くと、百見は一験にしかずを実感。実技講習会を通し、3業種のつながりや大切さを肌で感じたに違いない。
●つむじ風 11月28日
 一般社団法人日本庭園芸術協会が「鎮魂の庭」プロジェクトとして、陸前高田市と共に同市内に整備を計画する日本庭園。事業は今後、着工に向け準備が進められていく▼整備場所は、同市気仙町今泉地区。国道45号気仙大橋のたもとに広がるエリアで、気仙川沿いの最小約1・5㌶から最大約3・0㌶の範囲で整備する予定だ。総工費には3億円から5億円を想定し、資金は寄付を募るなどして調達。資金が1億円に達したところで着工し、工期としては最長10年を計画している▼プロジェクトでは庭園について、震災による犠牲者の鎮魂を願うとともに、生きていることの意味を再確認し生命力を取り戻す場として整備する考え。海外からも注目されるような美しい景観を創出するだけでなく、さまざまな雇用の場となることも構想している▼企画設計を担う協会の北山安夫代表理事は、「千年先までわれわれの思いをつなぐ場、全ての人が集える場としたい」と同市での会見で語っていた。今泉地区の伝統文化と響き合い、地域の再興に寄与する庭園になればと思う。
●つむじ風 11月27日
 県建設業協会一関支部と一関市水道工事業協同組合が、地元農家と結んだ協定に基づき年2回実施されている、一関市厳美町の骨寺村荘園遺跡内に布設されている土水路の泥上げが先日行われた。例年通り、業界と地元農家が協力し合って作業に当たった▼同遺跡については、世界遺産への拡張登録を目指していたものの、今回の推薦書作成では除外する方向となった。作業当日にも、落胆やこれまでの経緯に憤りの声が多く聞かれた。一方で、重要な景観と地元農家を守るため、活動を続けていきたいとする姿勢も見られた▼地元住民は、これまで苦労して景観を守ってきた。将来的に拡張登録を目指していくとしながらも、今回構成資産から外れたことで、遺跡内で農業を営む住民らにも、さまざまな考えがあることだろう▼さまざまな考え方を議論しながら一枚岩となっていくことが、景観や営農の維持には必要なことだろう。維持の一端に協力してきた業界団体としても、地元に寄り添いながら支援していくことが、悲願に少しずつでも近づいていくものと信じたい。
●つむじ風 11月24日
 東北地方整備局などの国の関係機関や東北6県、建設業界団体、警察などは、東北道路啓開等協議会を新たに立ち上げ、21日に第1回会合を仙台市で開催。東日本大震災で実施した「くしの歯作戦」の教訓などを、改めて確認する貴重な場となったことだろう▼同協議会は、東北地方の道路啓開の優先順位や方策をはじめ、道路啓開に関する情報共有、広域的な道路啓開の実施などの事項に関して、協議・検討を行う組織となる。今後、啓開ルートを具体化していき、24年度内にも、日本海側を含む東北地方全体としての道路啓開計画を策定する予定だ▼同局によると、東日本大震災の当時には、大規模災害を想定した啓開ルートは未設定だった。発災当日の深夜から、被災地に向かうための路線を選定。「くしの歯作戦」を一つの合言葉として、道路啓開を一斉に展開した▼震災の教訓に照らし合わせると、重機を保有している建設企業が地域に根差すことが、事前防災につながるのではないか。最大クラスの地震・津波災害に備えるためにも、関係機関の力を結集したい。
●つむじ風 11月22日
 厚生労働省は昨年6月、SAFE(Safer Action For Employees)コンソーシアムを設立。労働災害防止の取り組みを進めている▼SAFEのポータルサイトでは、従業員の幸せのための安全アクションとしてさまざまな取り組みを紹介している。転倒予防川柳では、転倒予防の日の10(テン)月10(トオ)日に今年度の大賞などを発表。応募があった382句から大賞に、のほほんさん(愛媛県)の「スマホより 手すりを持って 上り下り」が選ばれた▼アワードとして、職場で実施している労働災害防止や安全・健康の増進のための取り組み事例も紹介している。昨年度の取り組み事例集がまとめられ、その中には転倒災害防止部門がある。建設業や製造業、小売業、保健衛生業の事例が掲載されているので参考にしたい▼きょうは二十四節気の「小雪」。いよいよ本格的な冬将軍が到来する季節となる。昨年ヒヤリハットした場所や時間、対象者の年齢なども確認しながら、現場のみならず会社周辺においても転倒災害の芽を摘みたい。
●つむじ風 11月21日
 東北地方整備局岩手河川国道事務所、三陸国道事務所、南三陸沿岸国道事務所は、各管内の道の駅で冬タイヤの装着率を調査。結果として依然、装着率の低さを示し、早めのタイヤ交換を呼び掛けている▼岩手河川国道事務所による15日の調査では、道の駅「石神の丘」(岩手町)で装着率61・4%、「雫石あねっこ」(雫石町)で同63・3%。三陸国道事務所の同日の調査では「いわて北三陸」(久慈市)で同55%、「みやこシートピアなあど」(宮古市)で同39%。南三陸沿岸国道事務所は13日に調査し、県内の「釜石仙人峠」(釜石市)で同38%、「高田松原」(陸前高田市)で同47%だった▼今回の調査結果では、県内で「釜石仙人峠」の装着率が最低となったが、過去5年で最も早く国道283号の仙人峠で観測された初雪日は24日。雪が降ってから慌てないよう対策を講じておく必要がある▼朝夕の気温の低下により、路面凍結の可能性も懸念される。峠部などは冬期間、急激な気象の変化も生じやすいだけに、冬道運転への備えを万全にしておきたい。
●つむじ風 11月20日
 朝、ごみ捨てに出た妻が、「黄色い帽子をかぶった小学生にあいさつをしたなら、あいさつを返されるどころか、けげんそうな表情をされてしまった」と少しショックを受けた様子で戻ってきた。近所に住んではいるものの面識があまりないことで、不審者のように思われたか▼おそらく小学1年生で、学校からは防犯標語「いかのおすし」などの指導を受けているだろうから、致し方ないと思われる。実際、学校からは連日のように不審者情報の連絡が届いている▼少し状況は異なるが、それほど面識のないような近所の人から話し掛けられる、ちょっとしたお菓子をもらったりする光景は、かつては日常的なものだったと思う。少し発展して、近隣で住宅を建築中の大工さんに遊んでもらったというようなケースもあったことだろう▼昨今、子どもに気軽に声も掛けられない状況は仕方ないものの、寂しさも感じる。子どもたちが、さまざまなことを経験する機会を奪い、催し物のような形でしか体験できなくなっていることにも、つながっている気がしてならない。
●つむじ風 11月17日
 県土整備部は24年度から、原則全ての工事を発注者指定型の週休2日工事とする方針。17年度に受注者希望型でスタートして、21年度からは発注者指定型を導入している。同部によると、17年度から22年度までの実績は631件。23年度は9月30日現在で111件を実施中とのこと▼受注者希望型の場合、工程上の理由などから受注者側が週休2日を選択しないケースも多い。週休2日に取り組む姿勢が見られなかった場合には工事成績を減点する発注者指定型に切り替えることで、県土整備部の工事における週休2日の実績は大きく引き上がることになる▼他部局も早晩、同様の対応となるだろう。となれば、週休2日に対応できる企業でなければ県工事の受注は難しくなる。総合評価落札方式も絡めながら入り口段階での企業の選別が進むことが考えられ、受注の偏在と二極化につながることも懸念される▼週休2日工事は手段であり最終目標ではない。県内建設業界で働く人たちのために納得したスタートが切れるよう、受発注者間の協議をしっかり行ってほしい。
●つむじ風 11月16日
 県内では本格的な冬を前に、除雪機械出動式が開かれている。児童らを会場に招き、除雪機械の乗車体験などを企画・実施している地域もあるだろう▼先日、出動式の取材に伺った際の出来事。「こちらのお子さんが、除雪車に乗ってみたいそうですよ!」。声の方を振り返ると、母親に手を引かれている小さな子どもの姿が。県の道路担当職員が、国交省や建設会社の職員・社員に向けて、声を掛けていた場面だった▼その子は5歳で、耳鼻科からの帰宅途中だったとのこと。トミカを集めるのが好きらしい。近くを通った際、除雪車がずらりと並んでいて興味を持ったという。その子は除雪車のミニカーを持っていないとしつつも、機械を見て「雪を集める車」とうれしそうに話した。助手席に乗り、大きなハンドルに触れていた▼21日には、いわて建設業みらいフォーラム2023が開かれる。県内の高校生らに建設業の魅力、従事者の格好良さなどを伝える貴重な場だ。まずは好奇心を持ってもらう取り組みの一つとして、大切なイベントになるだろう。
●つむじ風 11月15日
 県が西和賀町大石地区で災害復旧事業の一環として進めている国道107号大石地区道路災害復旧(トンネル築造)工事。湯田小学校の全校児童と町民を対象にした現場見学会を取材した▼湯田小児童は、トンネル入り口で実際に発破作業を見学。効果音による発破音程度と思っていたら、予想以上のごう音と爆風。児童らとともに見学していたため、平静を装っていたものの、児童以上に心臓がバクバクしていたと思う。発破直後のトンネル内に漂う火薬の匂いも記憶に残っている▼町民を対象にした見学会では、JVを構成する企業が施工した田野畑村の尾肝要トンネルの記録映像を紹介。町民に見学会の感想を尋ねると「記録映像を見て、トンネルを掘るためにいろいろな作業があることを知った」とトンネル工事に興味を持った様子だった▼6年生の女子児童は、見学会を通して工事には多くの人が携わっていることを知り、「トンネルが完成し通行できるようになったら、ありがたさを感じながら通りたい」との感想。本物の体験を通して知る大切さがある。
●つむじ風 11月14日
 先週は、大船渡市と遠野市を結ぶ国道107号の整備促進、(仮称)大船渡内陸道路の高規格化を求める期成同盟会が、県に対し要望活動を展開。幹線横断道路にふさわしい改良整備などを訴えた▼要望では同盟会側が、大船渡港のコンテナ貨物取り扱い実績が増加傾向にあること、さらに22年度のコンテナ貨物の取り扱い先は8割が内陸部(北上市以北)の企業で、輸送には国道107号が利用されていることを説明。「大船渡港の利用促進には道路の整備が必要」との運輸関係者の声も伝え、整備の推進を求めていた▼国道107号の改良整備では、白石峠区間が22年度に事業化。トンネルの新設をメインに峠を解消するもので、今年度は路線測量や道路環境調査、地質調査を推進。着工に向け準備が進められている▼同路線では、住田町と遠野市間の荷沢峠も交通のネックとなっているところ。沿線の産業振興、救急搬送などを支える上でも重要な横断軸となっているだけに、改良整備の早期着工・事業化の取り組みを進め、安全安心な交通の確保を図ってほしいと思う。
●つむじ風 11月11日
 県空調衛生工事業協会(菅原浩幸会長)の今年度の現場研修会は、県内の配管関連の学科を有する3校を対象に開かれ、生徒、学生は盛岡市立総合プール、みちのくコカ・コーラボトリングリンクの機械室などを見学した。参加した学生、生徒は貴重な機会になったと話していた▼機械室の見学で、どのような仕組みでプールの水がろ過されているか、どういった原理で冷凍されていくかなどを学び、学生、生徒は機械設備に興味深げな様子だった。空調衛生工事業の仕事を進路の選択肢としてもらえることが願われる▼こうした機械設備は、大規模な施設のコアとなる部分を担い、施工だけでなく供用後の管理や修繕といったメンテナンスも重要なもの。目立つ仕事ではないかもしれないが、空調衛生工事業の存在で施設を快適に利用できていることに、魅力を感じる担い手が多く出てきてくれればと思う▼建設業は、縁の下の力持ち的な役割を担っている部分も多い。弊紙では、そんな陰で支える従事者らに、スポットを当てるような紙面づくりにも努めていきたい。
●つむじ風 11月10日
 本県の若手電気工事技能者はレベルが高い。電気工事技能競技全国大会では、本県代表選手が第3回大会で銀賞、第4回大会で銅賞を受賞した。大会に向けては県電気工事業工業組合青年部が出場者をバックアップ。土曜日などを使って指導に当たり、本番を想定しながら練習を繰り返して技能の向上を図った▼同工組はこのほど、電気工事を学ぶ高校生との意見交換を行った。青年部の会員が中心となって、電気工事業の価値や仕事のやりがい、仕事をする上で心に留めておくべきことなどのメッセージを生徒たちに伝えた。生徒たちは意見交換を通じて、コミュニケーションの大切さや顧客のニーズに応える姿勢などを学んでいたようだ▼県高等学校教育研究会工業部会の電気専門部長を務める水野扶佐史久慈工業高等学校長は、高校生と向き合う青年部の姿勢に感謝しながら「電気工事業の連携の素晴らしさを実感した」と話し、生徒たちには横の連携の大切さを学んでほしいと呼び掛けていた。人と人のつながり、信頼と連携こそが、人づくりの要諦かもしれない。
●つむじ風 11月9日
 週間天気予報のニュースを見ると、予想最低気温が氷点下という日も出てきた。平地での本格的な積雪シーズンはもう少し先だと思われるが、峠道などを通行する際には、十分に気を付けたい▼峠道というと、県北地域においては、特にも「横断軸の整備が不十分だ」と指摘する声をよく耳にする。国道281号を例に挙げれば、地元からは抜本的な改良とトンネル整備への要望が出されている▼国道281号では、17年11月に久慈市案内工区(延長2100㍍)が開通。22年2月には、同市下川井工区(1160㍍)が供用開始となった。案内工区においては、開通日当日も雪だった。下川井工区に関しては、筆者が開通前の写真を撮影しようと訪れた際、辺り一面が雪だったことが思い出される▼近年では、県の構想路線の一つに位置付けられた(仮称)久慈内陸道路の早期実現を期待する声も、徐々に大きくなってきたように感じられる。同道路の整備によって発揮される波及効果を整理しながら、安全に通行でき、災害に強い県北の横断軸の充実につなげたい。
●つむじ風 11月8日
 国土地理院は、今月30日から最新の航空レーザ測量データを基に作成した基盤地図情報(数値標高モデル)を1㍍メッシュ(標高)で提供を始める。対象範囲は、本県や宮城、福島の太平洋沿岸部で約2000平方㌔となっている▼これまでは5㍍メッシュ(標高)で提供していたが、1㍍メッシュ(標高)となり、25倍の標高点密度を有する。陰影段彩表示を見ると、5㍍メッシュ(標高)ではモザイク模様だが、1㍍メッシュ(標高)ではより細かに起伏を表現している▼国土地理院が提供する基盤地図情報(数値標高モデル)は、洪水や津波などの浸水被害の予測や土砂災害の危険性の調査、まちづくりなどで活用されている。21年7月に静岡県熱海市で発生した土石流では、盛土前・盛土後・発災後のデータを比較することで、標高変化を定量的に示した▼東日本大震災や近年の頻発化・激甚化する自然災害などを通し、精度の高いシミュレーションの重要性は増している。対象範囲の拡大に期待するとともに、誰でも無償で入手可能なので多くの分野で活用したい。
●つむじ風 11月7日
 東北地方整備局三陸国道事務所が事業を進める、国道106号宮古盛岡横断道路の「田鎖蟇目道路」が、いよいよ工事に着手する運びとなり、12月2日に起工式が行われる▼田鎖蟇目道路は、宮古市田鎖から同市蟇目を結ぶ延長7・2㌔の自動車専用道路として、20年度に事業化。宮古田鎖インターチェンジ(IC)と、21年3月に開通した宮古箱石道路の蟇目―腹帯地区をつなぐ区間となっている▼区間の現道、国道106号は閉伊川に並行。16年台風10号の際には道路決壊に伴う全面通行止めが発生し、沿線集落が孤立したほか、代替路がないことから広域的な迂回が強いられた。事業では区間内に主要構造物としてトンネル4本、橋梁2橋を整備する計画で、自然災害に強い道路ネットワークを確保していく▼田鎖蟇目道路の整備の本格化とともに、今後は同じく宮古盛岡横断道路の「箱石達曽部道路」の工事着手も待たれるところ。地域の安全安心な暮らし、産業振興を支えるためにも、横軸のアクセス向上に向けた取り組みを、着実に進めていく必要があるだろう。
●つむじ風 11月6日
 先ごろ県生コンクリート工業組合がまとめた23年度上半期の工組員企業の生コン出荷実績によると、出荷数量は約28万7000立方㍍。前年度上期から3割以上の減となっている。23年度の最終的な出荷数量について工組では約55万3000立方㍍と予測しており、過去最少だった22年度の約77万立方㍍を3割ほど下回る可能性がある▼盛岡市におけるマンションなど一定の民需がある県央は前年度から小幅な減にとどまっており、県南では半導体メーカーによる大型投資の反動減が見られたものの、数量自体はそれなりに維持されている。その他の地域は総じて厳しく、中でも沿岸は5割近く、気仙は6割以上のマイナス。両地区は22年度の時点でも前年度を大幅に下回っており、東日本大震災からの復興需要が一段落した影響はあまりにも大きい▼両地区ともにトンネルや橋梁など大型工事が控えているが、需要が本格化するのはもう少し先。その際に必要な生コンが供給されない事態を招かないためにも、地元生コン工場を維持する方策が講じられなければならない。
●つむじ風 11月2日
 東北建設業協会連合会(千葉嘉春会長)と国土交通省が、地域建設業を取り巻く諸課題について意見を交わす「東北建設業協会ブロック会議」。先ごろ、23年度の会議が秋田市で行われた。国土強靱化の計画的な推進や、働き方改革などをテーマに意見を交わした▼県建設業協会の向井田岳会長は、「新担い手三法を踏まえた適切な運用と適正な利潤の確保」の項目で発言。適正な設計・積算や施工時期の平準化の重要性などを国側に伝えた▼連合会の千葉会長は意見交換後、同省大臣官房審議官に、公共事業関係予算の東北地方への傾斜配分などを求める要望書を提出。東北の会員企業が施工余力を十分に有しているとの認識を示しつつ、河川事業の計画雨量の抜本的見直しのほか、国土強靱化事業の当初予算での別枠計上などを求めている。時間外労働の上限規制に関連し、災害対応に当たる企業の不安の解消を求める声も▼24年度の会議は、青森県内で行われる予定だ。次回会議においても新たな課題を共有することだろう。東北の課題を共有し、解決へ議論を深めたい。
●つむじ風 11月1日
 さくらPORT・TOWN㈱(西尾髙登代表取締役社長)は、北上市と公民連携でJR北上駅東口駐車場土地利活用事業を進め、最後の施設となるホテル棟が完成。10月28日に現地でセレモニーを開いた▼セレモニーで西尾社長は、「さくらポートタウンが愛され、頼りにされる存在となることで、市の活性化の役割を果たしたい」と決意を新たにした。八重樫浩文市長は「市の発展を象徴する歴史の1ページ。大変感慨深い」と語っている▼北上市の展勝地は、江戸時代に北上川の舟運の港(Port)として市の礎となっていた歴史があり、現在は桜の名所として高い知名度を持つ。Portは、外部入出力端子も指し、デジタル時代における市の玄関口(Port)となるように「Port」を用いているという▼隣接する広場を再整備し、ホテル前も広場として整備。一体を「さくらPort・スクエア」と命名した。西尾社長は「来年度から月1回程度イベントを開きたい」とも。人、モノ、文化の交流の接点となり、それぞれをつなぐ場となることを期待したい。
●つむじ風 10月31日
 先週は、県が宮古市内の中学生を対象に、道路メンテナンス体験学習会を開催。生徒は地元を走る国道で橋梁や舗装の補修、支障木の伐採を体験し、道路インフラの維持管理、老朽化対策の重要性を学んでいた▼学習会では県側が、1980年代に多くの道路橋が高齢化し劣悪な状態となったアメリカの事例などを示すとともに、クイズ形式で県内の橋梁数を確認。県管理の橋梁約2800橋も、20年後には約8割が建設後50年を経過する見通しから、対策が深刻な課題となっていることを解説した▼橋梁の補修現場では、生徒がコンクリート構造物が欠損すると水や凍結防止剤、空気が侵入し、ひび割れ、鉄筋の腐食の原因になることについて説明を受け、実際に断面修復工(左官工法)を体験。慣れない手つきながらも、こてでモルタルを充て、丁寧に形を整えていた▼今回体験した補修箇所は、今後も現場に残っていくだろう。自身の作業の跡を見るたびに、地域の生活を守るインフラメンテナンスや、作業を担う地元建設業の重要性について思い返してほしいと思う。
●つむじ風 10月30日
 年齢を重ねると同級の友人らとの会話は、数値が中心になるとも聞く。なるほど、健康診断での数値とまではいかなくとも、体調の変化に関する内容の会話が多くなった。「ひさびさにやったら、想像より動けなかった」「体の至るところに支障が出てきている」といった内容も多い▼豊富な経験で補える部分もあるだろうが、年齢を重ねるにつれて動きは鈍くなり、そうした人員が増えれば現場での作業効率も下がっていく。工期設定や工事適用歩掛りなどについて、高齢化を加味したものにしてほしいとの要望は、業界側からたびたび聞かれる▼少子高齢化の昨今、次代を担う若手とともに、ベテラン社員の力も必要不可欠な労働力。担い手の確保だけでなく、少しでも長い年数を働けるよう、高齢者に配慮した職場づくりは大事なものだろう▼一関労働基準監督署では、健康診断での有所見率が高く推移する状況を改善したいとして、健康管理活動の好事例を募集し、今後公表する予定。どんな好事例が出てくるか。参考にして、日々の体調管理にも気を配りたい。
●つむじ風 10月27日
 県電業協会が会員を対象に実施したCCUS登録状況の調査によると、「会社および技術系従業員全員が登録済み」と「会社のみ登録済み」の合わせて74%がCCUSに登録している。「CCUSを積極的に活用している」とする企業は全体の17%だった。同協会では「予想した以上に積極的に利用している企業があった」としている▼電気設備工事業などの専門工事業は大手・中堅ゼネコンの下請けに入るケースも多いことから、元請けの要請によってCCUSへの登録が進んでいることは容易に想像できる。今回の調査でも全体の35%が「元請けからの要請」と回答。一方で、登録にメリットを見いだせていない企業も一定割合あるようだ▼同協会の千田新一専務理事は「CCUSのデータが2次活用されるようになれば、受注者側もメリットを見いだすことができ、加入者の増加にもつながるのでは」と提言する。CCUSに限らず、あらゆるデータを特定のシステム内だけで最適化することなく汎用化が図られ、横断的な利用が可能になれば利便性も向上するだろう。
●つむじ風 10月26日
 県建設業協会岩泉支部(熊谷朋之支部長)は、岩泉町内に新たな支部会館を建設した。先日の落成式には、関係機関の代表者らが出席。小紙からは、代表取締役と記者の2人が落成式に出席した▼支部会館は、地域貢献活動や工事安全パトロールなど、さまざまな支部活動の拠点となる。新施設の構造は木造2階建て、延べ床面積は133・86平方㍍。地元の木材をふんだんに使用しており、ぬくもりなどが肌で感じられる。支部会員の心の拠り所とも言えるだろう▼現在では、同町役場前にあった旧支部会館が解体された。東日本大震災や16年台風10号などの後、何度も事務所を訪問したことを思い出す。普段から、支部会員企業の皆さんや県・町の職員との偶然の出会いなどもあった。解体跡地を見ると、少し懐かしさを覚える▼熊谷支部長は落成式で、「国道455号の整備などを中心に、地域の発展のために力を尽くしていく」と意気込みを語り、受発注者の結束を確認していた。新拠点を一つのスタート地点とし、今後の岩泉管内のインフラ整備につなげたい。
●つむじ風 10月25日
 県立黒沢尻工業高校の黒工祭が14・15日、コロナ禍を経て4年ぶりに完全一般公開で開かれた。昨年、同校土木科は県建設業協会北上支部青年部会に参加を依頼し、㈱小原建設と旭ボーリング㈱が初参加。今年は㈱佐藤組と岩手基礎工業㈱が企業ブースに参加した▼会場には保護者や中学生、友達など多くの来場者が訪れていた。中には卒業生が母校に足を運び、先生や旧友との出会いを楽しんでいた。「男の子は、学校の様子を家では話さない」と話す母親は、ICTの話や下水道管内を点検するカメラ、ドローンの操作などに夢中になっていた▼企業ブースの中には卒業生が説明する場面も。今年4月に入社した卒業生が機器を操作し丁寧に説明する姿や、ICTサポーターとなっている卒業生が分かりやすい言葉で建設業の最新技術などを伝える姿は頼もしい限りだった▼建設産業の担い手確保に向け、保護者や中学生への情報発信が欠かせない。今回の黒工祭のテーマは「つくるのはモノだけじゃない」。保護者や中学生との接点をつくる好事例ではないだろうか。
●つむじ風 10月24日
 本県の内陸山間部を縦断する国道340号。路線のうち、宮古市と岩泉町を結ぶ区間には、幅員の狭隘箇所など交通の難所となっている部分があるため、地元からは改良整備が求められている▼21日には2市町間の整備促進に向け、宮古市内で住民総決起大会が開かれ、参加した沿線住民ら約600人が整備の実現を強く要望。宮古市和井内-押角工区と岩泉町浅内工区の早期完成、幅員が狭く、急勾配、急カーブの多い未改良区間の早期事業化を、県や国に訴えていた▼大会で意見発表した地元高校生は、国道340号を通学に利用する中で「道幅が狭いため車の擦れ違いが難しく、カーブのきつい所では対向車に気付きにくい」と指摘し、交通事故の発生を危惧。「雪道になればさらに通学が大変になる」と語っていた▼「地域の過疎化を止めるためには、道路の整備は避けては通れない課題」とも。地域の暮らしや交流・観光を支え、救急医療、災害に強い道路ネットワークの形成を図るためにも、難所の解消に向けた取り組みを進めていく必要があるだろう。
●つむじ風 10月23日
 9、10月は産業まつりが開かれる時期で、県内各地で賑わっている様子が見られる。建設業界でも建機への体験乗車などを催しており、その様子を毎年取材している▼建機への体験乗車は、対象年齢を定めているわけではなく、高所作業車への乗車が比較的幅広い年齢層なのに対して、バックホウの操作は就学前や小学生でも低、中学年くらいの子どもたちが圧倒的に多い。そうした子どもたちが列をなしているのもあってか、小学生の高学年や中高生などは乗車を遠慮しているようにも感じられる▼県建設業協会青年部連絡協議会の建設業ふれあい事業では、多くの中学生も建機の体験を楽しんでいる。インターンシップや現場見学会では、建機の操作を熱心に取り組む高校生の姿が見られる。産業まつりの会場では、子どもと一緒に乗車して、子どもと同様かそれ以上に楽しんでいるような親も見かける▼小さい子どもや両親だけでなく、小中高生や大人単独でも建機の操作を希望しやすくする仕掛けづくり。より広く建設業への理解が浸透することにつながっていく。
●つむじ風 10月20日
 県環境生活部はこのほど、県有施設等の脱炭素化に向けた基本方針を定めた。第2次県地球温暖化対策実行計画で設定した県の事務事業における温室効果ガス排出削減目標「2030年度60%削減(13年比)」の達成に向け、県有施設の脱炭素化を推進する▼具体的な施策を見ると、今後新築する県有施設について、50%以上の省エネを図った建築物である「ZEB Ready」相当以上とする。このほか、今後新築する県有施設や少なくとも20年以上供用が見込まれる施設にはLED照明を導入。10キロワット以上設置可能な県有施設の約50%以上には、自家消費型の太陽光発電を設置する▼県は23年度「いわて脱炭素化経営企業等」認定制度と「いわて脱炭素経営カルテ」制度を創設した。県内企業等の脱炭素化経営を促進し、地域経済の活性化と脱炭素社会の実現を目指していく。県有施設の脱炭素に向けた取り組みによる新たな建設投資の創出が期待されるのと同時に、企業としての建設業に対しては脱炭素化の推進役としての役割も求められているようだ。
●つむじ風 10月19日
 太田名部漁港の用地内において、新たな魚市場の建設工事に着手した普代村。先ごろ、施工者の主催による安全祈願祭が現地で執り行われた。当日は天候にも恵まれ、秋の青空が広がっていた▼新施設の構造は、鉄骨造2階建て(塔屋1階)で、延べ床面積は2817・53平方㍍の計画となっている。施設整備により、衛生管理の高度化とともに、魚などの鮮度や品質の向上などが期待される。同村では、現時点で24年10月ごろの建物の完成、24年度内の供用開始を目指している▼安全祈願祭の会場において、「近年、全国的にも不漁のニュースを見かけます。新しい施設が村の活気にもつながってほしいと思っています」と、村役場の事業担当者に話し掛けた。すると、その担当者は「どうやら、今朝の魚の水揚げは良いみたいですよ」とうれしそうに語り、新施設の役割に大きな期待を寄せていた▼同村では、県北地域における生産・流通拠点施設を目指して、魚市場の建設を本格化していく。地元漁師の皆さんにとっても、明るい話題の一つとなっているだろう。
●つむじ風 10月18日
 4年ぶりに開かれたスカイフェスタ2023。花巻市のいわて花巻空港ウエストエプロン地区には、天気にも恵まれ多くの来場者が訪れた▼花巻市交流会館内では、㈱伊藤組(花巻市)が空港維持の世界展を開いた。航空機の着陸に影響しない深夜や早朝に行われる同空港の舗装工事や除雪業務がどのように行われているか紹介。写真家に依頼し、舗装と除雪に分け16枚を厳選した▼滑走路面の改良を行う舗装工事の写真では、路面切削や積み込み、乳剤散布、アスファルト舗装、転圧など完成までの流れを展示。深夜にアスファルトから白煙が立ち上る写真からはその熱気が伝わってくる。除雪では、除雪車両を説明しながら朝焼けの中の作業風景などを紹介。ロータリーから吹き上がる雪は10㍍以上という▼いわて花巻空港は、本県唯一の空の玄関口。同社は1964年の空港の供用開始から除雪業務を担い、冬期間における航空機の離着陸の安全性を確保してきた。普段は立ち入り禁止の滑走路などでの作業は、写真を通して知ることになる。次の写真展が楽しみだ。
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