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2025年
11月7日(金)
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県農業普及技術課 農業大学校施設整備事業は26年度の着手目指す 総事業費は26億8500万円想定
 県農林水産部農業普及技術課は、26年度に「県立農業大学校施設整備事業」への着手を目指している。同事業では、機能強化に向けた施設整備を計画。老朽化した農業大学校の管理棟や教育棟を建て替えるとともに、農業科学博物館を集約・合築する。新施設の規模(基本構想後)は延べ床面積1924・8平方㍍、総事業費は26億8500万円を想定している。同事業は、11日に開かれる25年度第4回県大規模事業評価専門委員会で諮問審議される。同日は現地調査も予定されている。
 同事業では、効率性・経済性の観点から施設を一体的に整備し、農業大学校の教育・研修機能の向上をはじめ、岩手の農業に関する資料の展示や学習の場の提供など、農業大学校の魅力の向上を図ることを目的としている。
 施設の建設予定地は、農業大学校の現在地の金ケ崎町六原蟹子沢14で、敷地面積は8万4022・0平方㍍となっている。
 同事業の大規模施設整備事業事前評価調書の概要を見ると、施設規模(基本構想後)は延べ床面積1924・8平方㍍の想定で、基本設計などで精査する。構造・階数に関しては、今後検討していく。
 床面積の内訳を見ると、▽職員室、校長室等353・9平方㍍▽保健室、更衣室、倉庫、機械室等302・9平方㍍▽講義室、大講義室624・0平方㍍▽調理実習室、展示室195・8平方㍍▽廊下、トイレ等448・2平方㍍―で構成される。
 事業期間は、現段階で26年度から35年度までを想定している。今後のスケジュールとして、26年度から新施設の基本設計・実施設計を進め、28年度から29年度にかけて建築工事を実施。30年度の供用開始を目指す。
 旧寮等に関しては26年度に解体設計、27年度に解体工事を予定。30年度以降に、既存の管理棟・教育棟や農業科学博物館の解体設計、解体工事を計画的に進めていく。
 総事業費は現時点で26億8500万円を想定している。事業費の内訳は、本体工事費15億4000万円、解体工事費7億2100万円、設備費9900万円、その他(設計、工事監理、地質調査、移転費、跡地整備費等)3億2500万円。ただし事業費は、基本設計前で国の26年度新営予算単価(国土交通省)を基に算出した概算額であることから、今後の検討過程において変更もあり得るとしている。
 現在の農業大学校の管理棟・教育棟では、老朽化が進んでおり、雨漏りや漏水などが頻発。このほかにも、24年度には敷地内全域で大規模停電が発生し、施設・設備の更新が必要な状況にある。
 さらには、教室や事務室にエアコンがない状況での学習・執務環境となっている。エアコンの整備に当たっては、建物の構造や断熱性、電気設備の増設などの観点から、建物全体の建て替えが必要とされている。
 農業科学博物館の主要棟は築26年で、電気設備(キュービクル施設)や外壁、屋根の改修などに多額の費用が見込まれている中で、入館料収入が低迷していることも踏まえ、ハードとソフトの両面で持続可能な運営体制の見直しが必要となっている。
 県では、農業大学校と農業科学博物館との一体的な整備により、施設の効率化と魅力の向上に取り組んでいく方針。6月には外部有識者による農業大学校の基本構想等策定検討懇談会を設置し、施設の機能強化に向けた意見交換を重ねてきた。10月には農業大学校の機能強化に向けた基本構想を策定した。
 農業大学校は1981年に、農業短期大学校、蚕業講習所、六原営農大学校を統合し、金ケ崎町六原に開校した。96年度には学科の再編を図り、農業短期大学校から現在の農業大学校へと改称した。県では、2005年度に農業研修センターを設置するなど、時代の要請に応える農業者の育成拠点として、機能の充実強化を図ってきた。
 施設は、昭和40~50年代に整備したものが多く、電気・水道施設などは老朽化が進行。管理棟・教育棟では、雨漏りや水道の漏水などが見られるほか、教室のエアコンは未整備。農場や実習施設は、スマート農業に対応した環境制御温室や米殻乾燥調製施設を整備しているが、Wi―Fi環境が未整備であるなど、農業機械整備スキルの習得に向けた施設や、6次産業化の実践力を高めるための加工施設なども未整備な状態にある。
 同課がまとめた施設整備の方向性では、「老朽化した管理棟・教育棟は建て替え整備する」「農業科学博物館を集約・合築することで、農大の教育・研修機能に加え、農業に関する資料の展示や研修、学習の場の提供等、農大の魅力向上を図る」を設定している。
 施設整備の流れとしては、整備予定地の旧寮などを解体した後、農大と農業科学博物館を移転集約し、管理棟・教室棟、博物館などは新施設の移転後に解体する予定だ。
 規模に関しては、国の基準を準用したほか、現有施設の利用状況、他県の事例や近隣施設の事例などを参考に、各室の積み上げを実施。利用頻度の少ない室の廃止や、学生の定員の見直しと合わせた教育施設のコンパクト化・多機能化、学生と農業者などの共用化、既存施設の活用により、延べ床面積を現行施設より約3248平方㍍削減し、規模の適正化を図る計画としている。
 主なコスト縮減への取り組みを見ると、施設の一体的な整備により、建設費用と維持管理費用を抑制。県有の農業大学校の敷地内に整備することにより、事業費や仮校舎費用を抑制する。
 さらには、建物性能のZEB化などを図ることで、ランニングコストを抑制していく。
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