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- 市制施行20周年を迎えた八幡平市の佐々木孝弘市長に聞く 次世代に希望をつなぐ GX産業団地の整備など
- 市制施行20年を迎えた八幡平市。その節目の年に2期目をスタートした佐々木孝弘市長に、これからの八幡平市政の展望を聞いた。佐々木市長は現在策定中の第3次総合計画の中で「次世代に希望をつなぐ八幡平市」という将来像を掲げ、地熱由来の地域新電力会社が供給する電力を活用した「GX産業団地」の整備と、大更駅東側への住宅団地の整備などの移住・定住施策を積極的に進める考え。大更駅前で整備を進めている交流複合施設「8テラス」については、新しいまちと人流を作る拠点として大きな期待を示している。
―市制施行20周年を市長として迎えられた思いを改めて。
当市は西根町、松尾村、安代町という2町1村が合併して県内で13番目の新しい市として誕生した。「農(みのり)と輝(ひかり)の大地」という将来像の下、旧3町村の特長を生かしたまちづくりと一体感の醸成を掲げ、庁舎整備や市立病院の移転など、社会基盤を整えてきた。
―今年から第2期佐々木市政がスタートし、第3次総合計画の策定を進めている。
基本構想では将来像を「次世代に希望をつなぐ八幡平市」と定めた。次世代を担う人たちがこの地で幸せに暮らしていくためには、今を生きる人たちがゆとりと潤いのある市民生活を送ることが大切だという思いをこの言葉に込めた。
基本構想における将来人口の設定では、国立社会保障・人口問題研究所の推計である1万7217人を上回る2万人を目標とした。人口減少を前提とすることへのご意見もいただくが、自然増と自然減のギャップが年間400人いる中、現実的に人口減少を鈍化させる施策も必要だと思っている。
―10月9日の市議会での所信表明では、第2期の市政に当たっての重点課題に言及されていた。
「ゆとりと潤いのある市民生活の実現」「農と輝の大地のさらなる振興」「市経済発展と環境保全」「教育環境の整備促進」「移住定住対策の強化」「環境を越えた自治体連携」の6テーマをお示しした。
一番の公約として掲げているのは、全国初となる地熱由来の地域新電力会社「㈱はちまんたいジオパワー」の電源を活用した「GX産業団地」の整備だ。環境に優しい産業を誘致して、魅力向上と人材確保にもつなげていきたい。加えて産業団地で働く人たちが定住する場所としての、大更駅東側への住宅団地の整備。この2点で移住・定住対策を進めていく。これが「市経済発展と環境保全」「移住定住対策の強化」の中でも大きな柱になる。
―ゆとりと潤いの観点になろうが、20周年記念事業は文化・芸能関連のイベントが盛況だった。
NHKのど自慢や沢田知可子さんのコンサートなど記念事業を実施した。これからも文化や芸術、伝統芸能などに触れて親しむ機会を増やしていきたい。そのために現在ある施設の改修も視野に入れている。大更駅前で整備している「8(はち)テラス」に図書館が移転することに伴う遊休施設や、学校の統廃合によって生じる空き校舎などを有効活用して拠点化を図ることも考えている。
また公園の再構築も進める。市内には50カ所以上の公園があるにも関わらず、市民からは子どもたちの遊び場、高齢者のくつろぎの場がほしいという要望が挙がっている。公園は市民が楽しめる場になっていないということであり、市民のニーズに応えられるよう、憩いの場としての公園に再編していく。
―先ほど言及のあった8テラスは、26年度のオープンに向けて整備が進んでいる。
大更駅周辺については、駅舎の改築、市立病院の移転、都市計画道路の整備、商店街の区画整理などに取り組み、今回の8テラスが大規模なハード整備の総仕上げになる。新しいまちと人流を作るためには核となる拠点が必要であり、メインの機能となる子育てのワンストップサービスなどを中心に、市内外から多くの人に集まってもらえる魅力的な施設としたい。
―「農と輝の大地」は、第3次総合計画におけるキャッチフレーズとする。
「農と輝」には多様な意味があるが、その一つが農業と観光。県の第3のブランド米「白銀のひかり」は当市の作付け面積が最も多く、期待が大きい。県内でも有数の生産量と品質を持つホウレンソウや世界的なブランドとして海外展開も図っている安代リンドウに加えて、九条ネギ、マッシュルーム、バジル、牧羊などの新しい特産品も生まれている。
観光では、高付加価値インバウンドモデルエリアに認定されて3年目であり、今後もインバウンド需要は伸びていくと思う。その中で、八幡平市の食材を情報発信し、観光客の増加と営農者の収入増という相乗効果を発揮させたい。
―教育面では小中学校統合が進んでいる。
西根・松尾地区の中学校の統合と、松尾地区の小学校の統合を並行して進めており、スピード感を持って対応していく。併せて学校給食の完全給食化、地元食材の提供などにも取り組みたい。
県立平舘高等学校については、県教委が27年度に家政科学科の募集を停止する方針だが、家庭科の専門課程を存続させることの重要性を訴えていく。平舘高校の生徒の確保に向けては当市の補助・支援制度なども含めたPR活動に加えて、無料の人材育成プログラム「スパルタキャンプ」の平舘高校版を今年度からスタートする。この二つの視点で生徒の確保を進めていく。
―地元建設業への期待、メッセージを。
市内企業が8テラスを単独で受注したことをうれしく思う。従来はこれだけの規模の工事はゼネコンやJVによる施工だったが、市内企業が受注して協力業者にも市内企業が多く入ることで、経済循環や人材確保などの面でも波及効果が大きい。今後も可能な限り地元発注に努めていく。一方で、人口減少社会の中で公共投資は厳しくなっていく。産業団地整備などで民間投資を促し、地元企業が受注できるような環境をつくっていきたい。
地元建設業はインフラ整備だけではなく、雇用や経済などの面でも市政への貢献が大きい。近年は週休2日など働き方改革も進んでいると聞いている。建設業で若い人が働きたいと思える魅力ある仕事であるよう、後押ししていきたい。













