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- 県土整備部上澤和哉部長に聞く① 予算確保と県土強靱化を 25年度補正予算は196億円 インフラの恩恵を発信へ
- 広大な県土を誇る岩手では、社会資本が地域を支えている。県土整備部の上澤和哉部長は「本県のインフラ整備は道半ばで、公共事業予算の安定的・持続的な確保が重要」との認識を示すとともに、「何のためにインフラを整備し、最終的にどのような恩恵を受けているのかという視点も大切にしながら、引き続き整備効果をPRしたい」と思いを語る。
―「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」が計画の最終年度となった。5年間全体の評価を。
県では、激甚化・頻発化する自然災害から県民の安全・安心な暮らしを守るため、加速化対策予算を最大限活用し、防災・減災対策を推進してきた。
2016年台風第10号で被災した岩泉町の小本川、安家川では、緊急的かつ集中的に治水対策を実施した。24年台風第5号の際には、台風第10号と同規模の総雨量を記録したが、河川改修事業の導入区間では住宅などの浸水被害はなかった。
砂防関係では、台風第10号対応等として各地に砂防堰堤を整備し、台風第5号の際、岩泉町の松橋川砂防堰堤などで土砂や流木を捕捉したことが確認された。そして台風第10号対応としては最後となる本銅口の沢砂防堰堤も25年7月に完成した。
道路関係では、国道455号のかさ上げなど、緊急輸送道路の整備や防災・減災対策を進めることができた。25年11月30日には、地滑りによる災害復旧事業を進めてきた西和賀町の国道107号大石トンネルが開通した。さらに、県内各地の落石防止対策や無電柱化、橋梁の耐震化などに取り組み、災害に強い道路ネットワークの形成を進めることができた。
県土整備部では、国土強靱化の取り組みに関する冊子を作り、取り組みの成果とともに、将来にわたり実施すべき事業があることを県民に発信してきた。今後も地域に必要とされるインフラの整備をしっかりと進めていく。
―24年度補正予算と25年度当初予算に計上された予算の執行状況は。
24年度補正予算では、県土整備部の公共事業費ベースで約192億円を計上した。工事請負費ベースでは25年11月末までに、ほぼ全ての契約を終えた。補正予算と25年度当初予算を合わせた実行予算ベースとしては、604億円の執行を進めている。工事請負費ベースでは11月末時点で、約9割を発注した。
―特にも強靱化の成果が上がった分野は。
国道281号案内~戸呂町口工区や、国道340号和井内~押角工区などで道路整備を推進してきた。案内~戸呂町口工区では、25年10月にトンネル築造工事を契約し、26年度に本体工事を進める予定だ。北上川の支川となる一関市の金流川などにおいても、整備の進ちょくが図られた。
―26年度からの国土強靱化実施中期計画に基づき、今後重点化を図る分野は。
19年台風第19号対応で事業を進めている久慈市の小屋畑川において、河川の切り替え工事を推進するとともに、長内川の新街橋の架け替え工事を進めたいと考えている。金流川では、背水対策の樋門の整備を進めていく。22年8月豪雨の対応では、特定都市河川に指定した一戸町の馬淵川において、ハード・ソフトを組み合わせた対策を進めていく。
砂防関係では、台風第19号関係で、大浦の沢(3)の砂防堰堤の整備など、土砂災害対策に力を入れたい。
ソフト施策の視点では、早期避難のための防災情報の充実・強化を図る。家屋倒壊等氾濫想定区域の指定による災害リスク情報の充実や、水位周知河川の指定拡大などの施策を進め、取り組みを深化させていく。
道路関係では、案内~戸呂町口工区、和井内~押角工区などの整備を推進するほか、課題となっている箇所の調査を進めていく。主要地方道上米内湯沢線の盛岡市浅岸工区などの歩道整備を推進していきたい。橋梁やトンネルの適切な維持管理に取り組んでいく。
下水道関係では、埼玉県八潮市の道路陥没事故を受け、下水道管路の全国特別重点調査を進めてきた。県が管理する流域下水道の幹線などにおいては、速やかな補修等が必要となる「緊急度Ⅰ」と判定された箇所はなかったが、引き続き長寿命化対策に取り組んでいく。
社会資本を良好な状態で、次の世代に引き継いでいくことが求められている。県土の強靱化を図る上でも、適切な維持管理などの取り組みを加速化、深化させていきたい。
―国の経済対策を踏まえた25年度の補正予算の計上額は。
県土整備部の予算額は約196億円で、道路の防災対策・橋梁の長寿命化対策等に46億円、河川改修に44億円、緊急輸送道路等の整備に13億円を計上した。本庁と現場の地方公所と連携しながら、県土の強靱化などを進めていく。
―県として、国に対し、どのような働き掛けをしていくのか。
本県の社会資本整備は道半ばであり、安定的・持続的な公共事業予算の確保に努めていく。今後は、社会資本を活用することで世の中が大きく進展していることや、地域の皆さんがインフラの恩恵を受けていることなど、踏み込んだ視点でPRすることも必要だと感じている。国などに対し、「最終的にどのような恩恵を受けているのか」という大きなストーリーを伝えたい。













