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2025年
9月19日(金)
04:02

コラム集

●つむじ風 9月18日
 普代村が建設工事に着手した義務教育学校の「普代学園」。施工者の主催による安全祈願祭を経て、本格的な工事に取り掛かった。同村では27年2月の完成、同年4月の供用を目指し、建設工事を進めていく。同村による近年のプロジェクトとしては、新魚市場の整備に続く大型事業となる▼建設場所は、三陸沿岸道路の普代北インターチェンジ付近の高台に当たり、総合運動公園も近い。校舎棟は鉄筋コンクリート造3階建て、延べ床面積が4189・93平方㍍。校舎棟には、1階から3階までつながる大階段を整備する計画。大階段においては、プロジェクターを下ろし、全校児童・生徒が階段に座りながら視聴できるスペースを確保する。9年間の義務教育を行う施設ならではの大きな工夫だろう▼普代学園の建設に当たっては、東日本大震災の教訓を踏まえ、冷暖房設備の整備など、避難所としての機能を強化していく方針だ。子どもたちが住民との交流を通じ、地元への愛着心を育むとともに、三陸地域の防災力を高めるシンボルとなることを期待したい。
●つむじ風 9月17日
 県建設業協会北上支部青年部会(菊池栄幸部会長)は、県立黒沢尻工業高校土木科3年生の就職希望者を対象に模擬面接を実施している。11年度から始まり、コロナ禍で一度中止したが、今回で14回目の活動となっている▼独特の雰囲気の中、模擬面接を受ける生徒。普段接する姿とは異なる姿勢で面接官を務める青年部会員。ファインダー越しに伝わる生徒や部会員の雰囲気に、何度取材しても慣れることはなく、取材する側も緊張する▼模擬面接を始めた当初に比べ、生徒らの受け答えは格段に上がっていると感じる。志望動機や学校生活で学んだことなど、自らのエピソードを交えながら伝えている。「長所はコミュニケーション能力です」と答えたものの、沈黙が続いてしまったことはご愛嬌だろう▼来春卒業する高校生の企業による選考が16日から始まった。模擬面接後の講評で部会員からは「就職先の企業が、どのような人材を求めているかをイメージすることが大事」と激励。部会員からのメッセージは、必ず本番で生かされるだろう。生徒らの健闘を祈っている。
●つむじ風 9月13日
 今夏の猛暑の影響で、今シーズンの稲刈りは例年より早くの実施が呼び掛けられている。県内でも9月初旬から稲刈りをしているほ場を見かけるほか、ほ場整備関連の取材で現地を訪れた際にも、すでに稲刈りを終えた箇所があり、稲刈り後のほ場を写真撮影している▼ほ場の写真をこれまで撮影してきたが、9月初旬の時期に稲を刈った後の写真を撮影したことは、あまり記憶にない。改めて、今夏の暑さを思い知らされる。今期の収穫量や品質も気にかかる▼稲刈りが一段落してから建設業にとっては、ほ場整備が本格化していくシーズンに入る。すでに多くのほ場整備関係の工事案件について、施工を担当する業者が決定した。今月中に施工業者が決まる予定となっているほ場整備工事も、まだまだ多くある▼県内には、ほ場整備の事業化に向けて調査を進めている箇所が多くある。加えて、調査の実施を要望している箇所が数多くあると聞く。ここ数年の米を巡る情勢を見ても、ほ場整備の重要性は増していると考えられ、必要箇所の着実なほ場整備が望まれる。
●つむじ風 9月12日
 県営建設工事の原則すべての工事が条件付一般競争入札となったのが07年7月。これに伴い価格競争が激化し、知事部局等の07年度における随意契約を除いた平均落札率は83・7%、08年度は81・4%まで低下した▼特にも影響が大きかった業種の一つが塗装工事。当時の本紙の調査を見ると、区間線を除き「塗装工事」として発注された工事32件のうち25件が低入札。平均落札率は塗装工事全体が69・9%、低入札は67・5%だった▼08年度も上半期22件の平均が68・5%、そのうち低入札15件の平均は65・1%まで下落した。橋梁塗装工事に対する重点投資の終了と入札制度改革のタイミングが重なったことによる価格競争の激化が、建築系の塗装工事に飛び火したと見られている▼現在はさすがに予定価格の70%を下回る入札こそ無くなった。一方で、地元の塗装工事業者が受注できない、下請けにも入れない事態が一部で起きているようだ。地元の専門工事業の力を生かせない現状が、健全な公共調達の姿と言えるのだろうか。これは塗装工事に限った話ではない。
●つむじ風 9月11日
 例年、下水道への関心が高まる9月10日の「下水道の日」。朝のニュースでも話題に取り上げられていた。埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故に触れ、下水道管路の状況などを紹介していた▼現在、国からの要請により、全国で下水道管路の特別重点調査が進められている。本県の流域下水道では、一部汚水管(延長15・31㌔)が調査の対象。県は特別重点調査を行い、調査結果を国へ報告する▼県などの主催による「下水道探検ツアー2025」が先日、盛岡市の都南浄化センターで開かれた。施設見学ツアーの第1班を取材すると、県議会議員の姿も。その議員は「岩手の下水道をどのように維持すればよいかを改めて勉強するため、ツアーに参加した」とのこと。最終沈殿池や地下の配管などを熱心に見ながら、下水道の重要性を再確認していた▼ツアーには、多くの親子連れの姿も見られた。水が浄化される過程を知り、喜んでいる子どもたちもいた。多くの人にインフラの重要性を知ってもらうためにも、まずは興味を引き出すことが一つの鍵になりそうだ。
●つむじ風 9月10日
 気象庁は、線状降水帯というキーワードを使い、大雨の可能性がある程度高いことが予想された場合に注意を呼び掛けている。正確な予測は困難だが、予測技術の開発を進め、24年5月から府県単位での呼び掛けを実施している▼同庁はこのほど、線状降水帯による大雨の半日程度前からの呼び掛けの実績評価指標を公表した。適中率と捕捉率の二つの指標を用いている。線状降水帯が発生する可能性が非常に低くとも呼び掛けを行えば捕捉率は高まるが、適中率は下がる。特性の異なる二つの指標を用いて客観的に評価することが大切という▼取りまとめ結果を見ると、呼び掛け「あり」のうち線状降水帯の発生「あり」の適中率は約20%(41回中8回)。線状降水帯「あり」のうち呼び掛け「あり」の捕捉率は約80%(10回中8回)だった▼本県では8月20~21日にかけて、呼び掛けを実施したものの、線状降水帯は発生しなかった。ただ、それでも3時間降水量の最大値は約80㍉。線状降水帯の呼び掛けの際は、大雨災害への心構えを一段と高めることが必要だろう。
●つむじ風 9月9日
 大船渡市に甚大な被害をもたらした大規模林野火災。同市は4日、林野火災による産業関連の最終的な被害額の合計が、約29億5300万円に上ったことを示した▼被害額のうち、最も大きかったのは水産業で約20億9300万円。定置網4セットの焼失による被害7億円をはじめ、倉庫、養殖業の加工機械の焼失、さらに養殖アワビでは停電などにより約250万個の被害が出た。農林業の被害額は、農業用の施設や機械の焼損、菌床しいたけ栽培施設の全焼などで約2億6000万円に上った▼被災建物は8月末現在で、公費解体の申請棟数が220棟。着手は76棟で、うち16棟が終了となっている。解体を請け負う企業によれば、8月1日に仮置場(赤崎地区の永浜・山口工業用地内)の供用が始まり、作業スピードがアップしているという▼解体工事では今後、大型ダンプなどが入れないような狭い現場での作業も増えるため、小型の車両や重機の確保が課題になっているとのこと。急ピッチでの工事となるだろうが、安全作業には十分留意してほしいと思う。
●つむじ風 9月8日
 1日の防災の日、8月30日から5日までの防災期間中は、さまざま防災に触れる機会が多かった読者も多かったことと思う。この時期、小、中学校や高校では、避難訓練や防災学習が催される。わが子も避難訓練に取り組むとともに、過去の災害や災害時の行動の仕方などを学んできたようで、いろいろと話してくれた▼防災学習を取材することもあるが、その際、子どもたちが災害について、真剣に考えているのを感じる。主催者側からも、「子どもたちが、どの程度理解してくれるか心配だったが、思った以上に熱心に説明を聞いてくれた」と手応えを示す声を聞く▼防災学習では、砂防堰堤や河川堤防など、災害から地域を守っている防災施設についても紹介され、子どもたちは理解を深めている様子。加えて、「防災施設では防ぎ切れない災害もある」などと説明し、避難の大切さを呼び掛けていた▼激甚化する自然災害には、かなわない場合もあるだろうが、安全安心な生活に防災施設は大切な存在。近年の災害に対応でき得る施設整備が、着実に進んでほしい。
●つむじ風 9月5日
 県営建設工事(知事部局等、随意契約を含む落札ベース)の24年度の発注件数は969件、発注金額は535億1100万円。このうち県内企業への発注件数は938件で1・7%減、発注金額は499億5600万円で2・2%増だった。ともに発注金額は2年連続の増だが、件数は2年ぶりの減▼県内企業の発注をピーク時と比べると、件数は92年度比で80・6%減、発注金額は95年度比で70・0%の減。東日本大震災前の10年度との比較では、発注金額こそ43・8%増ながら、件数は41・3%減。件数は「仕事がない」と言われていた当時の6割程度▼発注金額こそ当時を大きく上回っているが、当時と比べると建設生産コストはいずれも上昇している。設計労務単価を見ると、普通作業員が10年度は1万2100円、24年度は2万2100円で84・1%上昇。資材価格や諸経費も上がっているだろう▼震災前の6割程度となった発注件数が、業界の現状を正しく表現しているのかもしれない。数字ありきの話はしたくないが、これは余りにも厳しすぎるような。
●つむじ風 9月4日
 「雨の降り方が以前とは変わってきた」。あちこちで、この言葉をよく耳にする。県内でも2日の昼頃や夜間など、雷を伴った強い雨が降った。3日朝に開運橋を通ると、北上川が増水していた▼隣の秋田県の降雨状況に目を向けると、洪水被害がさまざまなニュースで取り上げられていた。同県のホームページには、「2日からの大雨による被害状況等について(第1報)」が公表されていた。住家の浸水被害が確認されているほか、土砂崩れや信号機の滅灯など、警察への110番の受理状況が記載されていた▼本県も広い県土を有しており、河川や沢などが点在している。「全国のどこで災害が起きてもおかしくはない」と言われる中にあって、改めて県内各地域に建設業者が根差していることをとても心強く思う▼河川やダムなどは、地域住民の安全で豊かな生活を支えている。さらには、人々から親しみを持たれるインフラの代表例とも言えるだろう。平常時と災害時の両面から施設機能を発揮しているということも、多くの県民の皆さんに知ってほしい。
●つむじ風 9月3日
 建設業の人材確保・育成に多角的に取り組んでいる国土交通省と厚生労働省。26年度の予算概算要求段階で、建設業の人材確保・育成に関する概要をまとめた。これまでと同様に「人材確保」「人材育成」「魅力ある職場づくりの推進」を重点事項として取り組む▼新規として、建設業の生産性向上の促進と建設業への入職促進に向けた魅力発信事業を挙げている。生産性向上に関しては、ICT導入に係る生産性向上策の深堀調査や、経営事項審査等の企業評価の見直し検討を実施する▼魅力発信事業では、工業高校生や退職自衛官、就職氷河期世代をはじめとした、建設業への就業有望層に向けたPR手法の整理や就業障壁の解消に向けた調査の実施を予定。担い手の確保による「地域の守り手」となる建設業の中長期的な持続性確保を目指す▼1971~74年に生まれた団塊ジュニア世代は、2030年に50代後半を迎える。深刻化する少子高齢化の中で、加速する技術革新は希望の光だろう。ICT導入に係る生産性向上策の深堀調査から得られる結果に注目したい。
●つむじ風 9月2日
 先月26日で、発生から半年が経過した大船渡市の大規模林野火災。現地では被災建物の解体や延焼木の伐採など、復旧・復興に向けた取り組みが進められている▼同市の林野火災の延焼範囲は、平成以降で国内最大規模となる3370㌶。森林の焼損で山の保水力も低下し土砂災害が起こりやすい状況から、県は災害関連緊急砂防事業を導入。砂防堰堤の新設3カ所と既設堰堤の改良2カ所を計画し、年度内の工事発注を目指し急ピッチで事業の進捗を図っている▼かつてない規模の火災により、建物は住宅90棟、非住宅136棟の計226棟(うち全壊175棟)で被害を受けた。事業用施設や資機材でも甚大な焼損被害が出ており、暮らしの再建をはじめ、なりわいの再生、森林などの早期復旧は、大きな課題となっている▼同市からは、住宅再建への支援や、被災事業者への経済的支援、雇用維持に係る支援など多岐にわたるサポートが要望されている。より円滑な復旧を図るためにも、住民に寄り添いながら、地域の復興に向け措置を講じていく必要があるだろう。
●つむじ風 9月1日
 学生のころ、さまざまな地域から集まった友人らと自分の住んでいる場所が、どのくらい田舎あるいは都市化しているかを、話すことがたびたびあった。話の中で、都市化の程度を比べる尺度として、自宅から何㍍先に信号機があるかが話題になった。道路や道路に関わる施設が、都市化の尺度になり得ると思い起こす▼要望などの場で、県境に位置する路線の要望が、たびたび出される。「境目の整備が遅れている印象がある」との声や、「隣県に入った途端、幅員が広がるなど道路が立派になる」といった指摘などが聞かれる▼「移動に車が必須」と旅行雑誌などでも紹介される本県。車の必要性は、道路整備の推進がいかに必要かに直結もする▼道路に関しては近年、草刈りや路面清掃、細かな補修などの維持管理面に「十分に行き届かなくなってきているのでは」ともささやかれる。道路整備の具合いは、生活や地域間交流、観光などの面に加え、他地域から来た人に本県への印象に大きく影響するものとなり得る。他県に後れを取ることなく進めてほしい。
●つむじ風 8月29日
 特にも小規模自治体では、消防・防災部門の職員が必ずしも災害や防災に関する専門性が高い訳ではない。首長が防災の専門家であるケースも多くない▼16年台風10号災害の教訓を踏まえ立ち上げられた「風水害対策支援チーム」。県内自治体の首長が避難指示などを発出する際の判断を支援することを目的に設置されたもので、専門家と行政機関の関係者らが参集し、早い段階での避難を自治体が呼びかける際などの助言を行っている▼支援チーム立ち上げを提言し、現在もチームをけん引する岩手大学名誉教授の齋藤徳美氏のインタビューを本日4面に掲載している。強力なリーダーシップで知られる齋藤氏でも、行政機関の定期的な人事異動とチーム運営とのバランスの難しさを感じているようだ▼建設業界にも同様の課題意識がある。故宇部貞宏氏は県建設業協会会長を務めていた当時、「行政機関は人事異動があるため、事務的な申し送りはできても、危機感まで引き継げない」と指摘していた。建設業界や研究者が持つ知識と経験の蓄積は、地域の財産と言える。
●つむじ風 8月28日
 県土整備部県土整備企画室は、本県における「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の実施状況・事例等(6月更新版)のパネル展を、県庁1階の県民室で開いている。この事例集は、今回で5回目の更新。パネル展では、来庁者が現場を案内されているような雰囲気を感じられるよう、人型パネルも合わせて配置するなど、情報発信の方法に工夫を凝らしている▼同室の石川大洋企画課長は、近年の自然災害を踏まえ、継続的な国土強靱化の重要性を語り、「パネル展がハード対策や避難の重要性を考えるきっかけとなれば」と期待を込める。パネル展会場には県議会議員の姿も見られ、石川課長が概要を説明していた▼加速化対策の事例集は、県のホームページでも公表されている。県内各地域における代表的な事業や取り組みの成果などが掲載されており、非常に分かりやすい▼事例集に目を通すと、広い岩手において、公共事業がいかに重要かを実感する。今後も引き続き事業の成果を整理しながら、次なる国土強靱化対策へと弾みをつけたい。
●つむじ風 8月27日
 花巻労働基準監督署は、管内の製造業を対象にした安全管理者ワークショップ(WS)を初めて開いた。24年の管内の事故の型別で「はさまれ・巻き込まれ」は全産業で34人。製造業は12人と看過できない状況だが、建設業でも5人と決して他山の石ではない▼WSの中で、同業種のSWS東日本㈱(本社・一関市)の担当者が事例を発表した。「安全は全てに優先する」を理念に掲げ、従業員一人ひとりの安全への意識を醸成し、安全文化の醸成を図っていることなどを紹介した▼同社は、社内標準や作業標準、工場の決め事など多くのルールが存在する。安全活動の一環として「3S・3定」を定めている。3Sは整理・整頓・清潔だが、3定とは?定位置、定品(置くものを決めておく)、定量(置く量を決めておく)という▼建設業においても、各社・各現場で多くのルールや決め事がある。煩わしいと感じることもあるかもしれないが、なぜルール化されたのかを考えれば納得するはず。ルールや決め事は、自分自身を守る保護具でもあることを忘れてはならない。
●つむじ風 8月26日
 小学部と中学部で施設が分かれている小中一貫教育校「吉里吉里学園」の、施設一体化を計画する大槌町。今後、準備委員会を年度内に設置する予定で、一体化に向け必要な協議を進めていく構えだ▼町は基本方針で、児童・生徒数の減少などを総合的に判断し、中学部を小学部の施設に一体化することを提示。児童・生徒数は小・中学部を合わせ25年度は99人だが、6年後の31年度には82人となる見通しだ。昨年10月には学園のPTAからも、各校単独での行事開催が難しくなってきていることから、小学部への一体化が要望されていた▼一体化に当たっては、義務教育学校制度(9年間の一貫教育)と、小規模特認校制度(通学区域に関係なく特定の小規模校への就学を認める制度)の導入も、方針として掲げている。中1ギャップの解消や、少人数教育の利点を生かした特色ある教育活動、多様な学び・交流なども期待されるところ▼今後は、一体化などに向けた施設整備も予定されている。関係者や地域の声も生かしながら、魅力的な教育環境を確保してほしいと思う。
●つむじ風 8月25日
 秋ごろからの施工に向けて、ほ場整備関連の入札公告が多い時期となっている。記事の作成に伴い、関連するほ場の写真を撮影する機会も多いが、近年は有害獣対策として、電気柵を設置する農地が増えた印象がある▼農業分野において、有害獣に対する懸念は深刻なものになっていると思われる。ほ場整備を担うほか、さまざまな面でかかわりがあると言える建設業にとっても、有害獣被害は人ごとでない。出没件数の増加などから、現場での有害獣への対応は重要になっている▼熊に関しては、出没件数に大きく影響するとされるブナの豊凶指数が今年度、大凶作が確定的のため、出没件数が多くなると予測されている。秋以降、施工に入る現場が多くなり、一層の注意が必要となりそうだ▼熊と遭遇した場合の対処法、撃退用スプレーの使い方などを研修する建設企業も増えてきている。何度か研修の様子を取材したが、スプレーの使い方一つとっても、噴射するまでの一連の動作に、もたつく人が多く見受けられるなど、訓練の大切さを感じさせられる。
●つむじ風 8月22日
 6月末現在、県内建設業における労働災害による死傷者数は82人。前年を1人、増減率にして1・2%上回っている。上半期の死傷者数が前年を上回るのは、17・3%増となった21年以来4年ぶり▼21年は「墜落・転落」「転倒」をはじめ冬季特有災害の増加が大きく影響しており、死亡者数も4人と死亡労働災害が多発していた。今年は転倒が11人増と大幅に増加しているが、墜落・転落が10人減と前年を大きく下回っている。また死亡労働災害も発生していない▼岩手労働局では「墜落・転落災害防止に対する意識付けができつつあるのでは」と、業界の取り組みを評価し「墜落・転落を減らすきっかけの一年に」と呼び掛ける。建設業における労働災害の3割を占める墜落・転落災害に歯止めをかけることで、労働災害全体の減少につながることが期待できる▼「前年比増」といっても、他業種と比べると建設業は横ばい圏内。後半の取り組み次第では10年の196人を下回り、200人未満の定着に繋がる可能性もある。暑い日が続くが、安全第一を忘れずに。
●つむじ風 8月21日
 県建設業協会(向井田岳会長)は、地元の高校生・学生らを対象とした25年度の建設工事現場見学会の開催を計画している。9月から順次、現場見学会を開く予定で、次世代に地域建設業の魅力を伝えていく▼先日、同協会から、現場見学会の取材案内を頂いた。25年度の現場見学会は、県内の工業系実業高校と短期大学校・専門学校の10校11科を対象に実施予定とのこと。取材に伺う立場としても、県内各地の現場を見たり、熱心に働いている皆さんの声を聞いたりすることができ、非常に楽しい▼以前の現場見学会では、「人生の半分ほど、この仕事に従事してきた。よく読んでいた雑誌に私の名前が載ったこともある。建設業は地図に残る仕事。この感動を味わってほしい」と自身の思いがけないエピソードを交え、やりがいを語った現場担当者もいた▼「同じ現場はない」とも表現されるように、現場での工事内容や工程、課題などは多岐にわたる。それと同時に、一つ一つの現場のやりがいが多種多様にあるという点も、建設業ならではの楽しさだろう。
●つむじ風 8月20日
 岩手の空の玄関口「いわて花巻空港」。9月20日の空の日を記念し、スカイフェスタ2025が同月23日に開かれる。昨年は供用開始から60周年の記念イベントで、天気にも恵まれ家族連れなど1万2000人超が来場した▼普段は入場できないエプロンエリアに、小型機や化学消防車、除雪機械などを展示。化学消防車による放水デモンストレーションや軽飛行機による曲芸飛行などを披露。今回も同じようなイベントが企画されている▼県建設業協会花巻支部青年部会(照井正樹部会長)は、イベントに初参加。ゲート前エリアに高所作業車やホイルローダーなど4台を配置し、照井部会長ら9人が重機展示や搭乗体験に対応した。多くの来場者に部会員らは大忙しだったが、笑顔で搭乗する子どもらの姿に癒やされた様子だった▼照井部会長は「建設業に親しむことで、将来一人でも多く建設業の仕事に就いてほしい」と願った。これだけ多くの人と触れ合う機会は少ないだろう。来場者にとって建設業の正しい理解につながり、その魅力を発信する場となってほしい。
●つむじ風 8月19日
 大槌町が町中心部に整備した、東日本大震災の追悼施設「鎮魂の森あえーる」。施設は5日の供用開始後、15日には完成を記念し、震災で犠牲になった町民と同数の1286発の花火を打ち上げ、祈りをささげた▼打ち上げに際し平野公三町長は、「大槌町は、あの日を忘れず、教訓を未来へとつなぎ、命を守るまちづくりを進めてまいります」とメッセージを寄せ、犠牲者を悼むとともに、次世代へ震災の教訓を伝え続けていくことを誓った▼施設は同町須賀町に整備。市街地を守る大槌川水門の周辺で、1・45㌶の敷地内には芳名碑をはじめ、献花台や水盤が設置されている。愛称の「あえーる」には、はるかかなたの海へ旅立っていった多くの人たち、故郷を離れて暮らす人々と出会える場、まちの未来にエールを送る場になってほしいとの思いが込められている▼震災の発生から14年5カ月。町の風景や暮らしが変わる中で、施設は当時を思い起こす拠点になるはず。多くの人が集い、震災の記憶を後世へ継承しつつ、災害への備えについて考える場になればと思う。
●つむじ風 8月18日
 8月になると、岩泉町や宮古市、久慈市などに甚大な被害をもたらした16年台風第10号災害のことを思い出す読者も多いだろう。県建設業協会(向井田岳会長)の本部や被災した現地支部、隣接支部が一体となり、発災直後の応援体制の構築や道路啓開に始まり、応急復旧、本格的な復旧・復興など、各種ステージに対応してきたことが強く印象に残っている▼6月に閣議決定された第1次国土強靱化実施中期計画では、国土強靱化の基本的な考え方や実施すべき施策などを記載している。主な施策では、「防災インフラの整備・管理」「ライフラインの強靱化」などと合わせて、「地域防災力の強化」の視点も盛り込まれた▼地域防災力の強化に向けては、ハード、ソフトの両輪での取り組みが重要とされている。地域防災力の根幹を支えている存在が地域の建設業界と言えるのではないか。県民の安全・安心な生活を守り、災害に強い県土を次代に引き継いでいくためにも、「地域を熟知した目」を持つプロフェッショナルとして、地元目線の強靱化を提案していきたい。
●つむじ風 8月9日
 先日、とある業界団体の代表の方に久々に会う機会を持った。以前は、毎年開かれるイベントの際に必ず会っていたが、コロナ以降、未開催が続いている。休日に開かれていたイベントだが、聞けば「土日は社員を休ませたいし、建設業も週休2日が当たり前の時代になってきた」と理由を挙げ、「何らかの形でまたやりたい」とも話していた▼建設業でも週休2日が広まる中、休日のイベントを続ける企業、業界団体もある。土日に休ませたいと考える経営陣、会社や団体のためなら時には休日でも働く社員ら、どちらも企業と社員とが良い関係を築いているからこそのものだろう▼災害時などには、昼夜問わず対応するケースがあるのが建設業。9日からお盆休暇の企業も多いと思われるが、数年前には、お盆中の大雨で、応急復旧などに対応した建設業者があった▼今年1月には、県内で高病原性鳥インフルエンザが発生、正月早々から建設業が活躍した。ワーク・ライフ・バランスと建設業の担う役割の双方に気を配りながら、業界は日々の業務に取り組んでいる。
●つむじ風 8月8日
 6月1日施行の改正労働安全衛生規則により、各職場における熱中症対策の強化が図られた。各事業所に対しては、熱中症の重篤化を防止するための「体制整備」「手順作成」「関係者の周知」が義務付けられている▼事業所ごとに連絡体制の整備が必要になるが、元下関係で現場を動かしている建設業にとっては、この点が意外に厄介かもしれない。まずは現場ごとの連絡体制と安衛則に定める熱中症対策の対応状況を見直してみることが必要だろうか▼厚生労働省によると、職場における熱中症による死亡災害のほとんどが、初期症状の放置や対応の遅れによるもの。今回の安衛則の改正はあくまでも重篤化の防止を主眼に置いたもので、大前提としてあるのは熱中症の予防対策▼「建設現場における熱中症対策は、ヘルメット着用と同じレベルになった」とも言われ、各現場では、空調服や遮熱ヘルメットの配布、冷房車の配備などの対策を講じている。取材中に聞いた一言「熱中症対策は、どれだけやってもやり過ぎにならない」が、今夏は一際実感させられる。
●つむじ風 8月7日
 県では、国道281号の案内~戸呂町口工区(久慈市山形町)で、急カーブ区間などの解消に向けて、道路改良事業を進めている。同工区内に整備が計画されている(仮称)下平トンネル(延長569㍍)の築造工事の入札が行われ、落札者が公表された。引き続き切れ目のない事業展開に、大きく期待している▼先月22日には、国道281号整備促進期成同盟会(会長・遠藤譲一久慈市長)が県に対し、道路整備の要望を実施した。遠藤会長は、上澤和哉県土整備部長に要望書を手渡し、公共事業予算の確保と合わせて国道281号の抜本的な改良を要望。生活や産業の基盤となる道路の重要性を訴えていた▼同盟会による要望とは別に、同市をはじめとする市町村から県への要望会が今後、予定されている。要望会では、より地元の目線に立った話題が提供されるだろう▼公共事業予算の安定的な確保などと合わせて、地域の声や、時代とともに変化するニーズなども切れ目なく把握することが大切。地域にとって真に必要なインフラを確認し合う機会を大事にしたい。
●つむじ風 8月6日
 ネットとは無縁の小中学生の頃、夏休みの課題や自由研究に苦労した。特に、小学生の時、創作と研究が交互に出され、何をやるかで毎年恒例の言い争いが、今の時期だったような気がする▼国土地理院が公開している「地理教育の道具箱」は、そんな小中学生や保護者に朗報。300を超える各種コンテンツを掲載し、小中学生それぞれの学習段階に応じた地図や地理に関する学びに役立つ内容が満載だ▼例えば、小学5・6年生向け。「先人が残したメッセージから学ぼう」をテーマに、身近にある自然災害伝承碑を調べることを促している。中学生向けを見ると、河川がつくったさまざまな地形について、その特徴や成り立ちを写真や地図、イラストなどさまざまな表現方法で視覚的に理解することができるようになっている▼各コンテンツをのぞくと、児童や生徒のみならず保護者にとっても有益な情報が盛り込まれている。地理教育の道具箱を活用し、楽しく地図や地理、地域の地形や土地の成り立ちに関する理解を深めるとともに、災害への備えにも役立てたい。
●つむじ風 8月5日
 先月30日にロシアのカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震では、津波注意報・警報が発令され、県内でも津波が観測された。同付近では3日も地震が発生。日本への津波の影響はなかったが、引き続き注意していきたい▼30日に起きた地震では、最大波として久慈で1・3㍍、宮古と釜石で50㌢、大船渡で40㌢を観測。東日本大震災の津波災害を教訓に、避難誘導や水門・陸閘の自動閉鎖、海沿いの道路などで通行止めが実施されたほか、関係機関、建設業団体は情報収集に努めた▼県内の延べ避難者数は5229人。避難指示の対象者約5万3000人のうち1割が避難したことになる。炎天下での避難となり、久慈市では90代男性が避難途中に熱中症で、大槌町の避難所にいた30代女性は避難所から熱中症の疑いで、病院に搬送された▼1日の会見で達増知事は、「真夏における避難の大変さが分かったので、今回の教訓を生かし対策を検討していきたい」と語った。冷房設備の設置や停電時の対応なども踏まえ、酷暑下での避難にも備えておく必要があるだろう。
●つむじ風 8月4日
 8月に入り今月は各地、各建設関連団体などで道路清掃を行う時期となっている。今シーズンも例にもれず、近年の8月の道路清掃活動は、熱中症が懸念される状況下での作業となっており、参加者にはくれぐれも注意してほしい▼猛暑が続いていることから、今年度の道路清掃活動について、8月の開催を取りやめ、9月に延期することを計画する団体もあるようだ。この時期の道路清掃は、10日の道の日、8月の道路ふれあい月間に合わせたもので、お盆に合わせ本県を訪れた帰省客や観光客などへのおもてなしの思いも込められたものとなっているが、猛暑を要因に延期する判断はやむを得ないものだろう▼猛暑の影響は、さまざまな面に出ている。5日から始まる全国高等学校野球選手権大会では今年度、開会式が午後4時からを予定。試合についても昨年から午前の部、夕方の部の2部制が取り入れられている▼毎日屋外での作業となる施工現場で、熱中症の危険は非常に高まる。現場での対策、管理の徹底とともに、工期面などでの適切な配慮が望まれる。
●つむじ風 8月1日
 7月29日で今年度の建設業地域懇談会が終了した。議論の納得具合は当事者でなければ分からないが、かつての「打てど響かず」の時代から見れば、官民双方がお互いの立場を尊重して一致点を探ろうとする姿勢が感じられるだけでも大きな前進と言える▼だいぶ前のことだが、県土整備部の幹部職員から「建設業と建設行政の価値は、地域に対する忠誠心にある」と聞いたことがある。つまり業界と行政が目指す先は同じであり、受益者は当然県民一人ひとり。本来は対立する関係にはない▼30日のカムチャツカ半島付近で発生した巨大地震により、本県沿岸部にも津波警報が発令された。いまのところ目立った人的被害や土木施設の被害は確認されていないが、久慈市で130㌢の津波を記録するなど、気が休まらない一日だったと思う▼以前にも述べたが、災害があったから建設業が必要になったのではない。地域建設業が健全に維持されているからこそ、災害など有事の際に業界を頼りにすることができる。地域への忠誠心があれば、一致点を探るのは難しくない。
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