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2024年
12月26日(木)
22:49

コラム集

●つむじ風 12月26日
 年の瀬を迎え、今年の出来事を振り返っている読者の皆さんも多いのではないか。実は筆者としても、取材を通じて印象深いことがある▼県土整備部ではこの1年、上澤和哉部長のリーダーシップのもと、建設事業などのPRに力を入れていたように感じられる。「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」の事例集の作成などをはじめ、県庁県民室や各地区合同庁舎でのパネル展の開催、いわて建設業みらいフォーラム2024のオンライン配信、SNSの活用など、さまざまな形で社会資本整備の重要性などを県内外に発信していた▼同部県土整備企画室によると、24年度の県庁県民室を利用したパネル展の企画数は、全部局中トップとのこと。同部では「職員一人ひとりが広報マン」として、事業や取り組みなどのPRに力を入れている▼建設業の担い手の確保は、将来のインフラの整備・維持管理のための重要な課題の一つと言える。「身近な社会資本の重要性が少しでも、若い人をはじめ皆さんに伝われば―」。そのように思い、取材をした1年だった。
●つむじ風 12月25日
 耐震化が未実施だった基幹施設等に被害が生じたことで広範囲で長期の断水が発生した能登半島地震。改めて、耐震化の遅れと重要性が認識された▼国土交通省は、国民の水道事業等に対する理解促進に向け「水道カルテ」を作成・公表。カルテでは、料金回収率と耐震化率などを指標として設定し、視覚的にこれらの現状の確認や他の水道事業者との比較を可能にした▼本県では29水道事業者のデータが示されている。耐震化率・料金回収率がともに高いグループⅡ―0は盛岡市と奥州金ケ崎行政事務組合、続く同Ⅱ―1が山田町と岩手中部水道企業団。一方、西和賀町は基幹管路の耐震適合率と浄水施設・配水池の耐震化率はいずれも0%となっている▼耐震化率等の県内平均は、基幹管路の耐震適合率が54%、浄水施設が43%、配水池が41%。今後の人口減少を考慮すると、水道カルテが示すデータからは、現在の体制を維持できるのかどうか考えさせられる。「運営基盤の強化」と「施設耐震化の加速化」は早急に対策を検討・実施していかなければならない。
●つむじ風 12月24日
 住田町世田米で昭和橋の架け替え事業を進めている県は、先週、橋梁の上部工工事を公告した。現地では橋脚工や護岸工が推進中で、新橋整備はさらに進展していく▼同町中心部で気仙川に架設されていた旧橋は、橋脚の間隔が狭いなど、増水時に流木等が川の流れを妨げ、浸水被害を及ぼす恐れがあることから事業が計画された。新橋は橋長72㍍、全体幅員7・8㍍の「1車線+2歩道」で整備。上部工形式は、2径間連続プレビーム合成桁橋となっている▼新橋も旧橋と同じ位置に建設しており、現在は橋脚工の仮締め切り工や左岸側で護岸工が進められている。下部工は25年6月の完成を計画。公告された上部工では桁架設工323・7㌧などを盛り込んでおり、工期には492日間を設定している▼新橋の供用開始時期は上部工の発注時期を見直したことで、これまで見込んでいた26年3月よりも延期となる見通しだ。完成すれば町を象徴する新たな景観が形作られるだけでなく、重要な生活路線としての役割も担うだけに、一日も早い完成が求められるだろう。
●つむじ風 12月23日
 2024年も残り一週間程となり、年始のあいさつとして年賀状を書いている読者、企業も多いことかと思う。個人的にも鋭意進めているが、特にもプライベートなものは年々減ってきているのを実感する。友人の両親をはじめとする親戚の不幸による喪中、志半ばにして他界した友人も出てきている▼近年は、年賀状じまいする知人も増えてきている。企業でも増えてきている状況で、5割の企業が年賀状じまいしたとの調査結果もあるようだ。コストや事務作業の削減、環境保護といったSDGsの観点などが、理由に挙げられている▼日本の文化や伝統を重んじる企業の場合は、年賀状を続けている傾向にあるともされる。新年のあいさつ一つとっても、さまざまな価値観が尊重されるべき時代になっているのだろう▼個人間でも同様で、担い手の育成・確保が課題となっている一方、労働力の確保の観点では、中堅やベテラン社員の存在も欠かせない。各世代が互いの価値観を尊重し合い、少数の世代がいたとしても、居心地の良い職場を作ることが大切に思う。
●つむじ風 12月20日
 このところ耳にすることが増えた「フェーズフリー」という言葉。フェーズフリー協会代表理事の佐藤唯行氏が2014年に提唱した概念で、「日常と非常時のフェーズに関わらず生活の質を向上させるよう、日常に使用する商品やサービス、インフラなどをデザインする」というもの▼身の回りでは、ハイブリッド車や加圧ボールペンなどを思い浮かべればイメージしやすいだろうか。公共施設における事例としては、建物の屋上を避難場所として活用できるほか、商品を立体的に陳列することで商品を探す楽しさを追求しながら非常時の備蓄も兼ねる徳島県鳴門市の道の駅などが挙げられる▼「第6次社会資本整備重点計画」の検討の中でも、フェーズフリーへの取り組みが論点の一つに挙げられている。国交省の視野に入っているということは、今後のインフラ分野におけるキーワードの一つになるかもしれない▼「日常の生活を豊かにするものが非常時にも役に立つ」。これって建設産業のことじゃないか。地域建設産業の健全な維持と発展も立派なフェーズフリー。
●つむじ風 12月19日
 県電気工事業工業組合久慈支部や同青年部久慈支部の会員らは24年度、県立久慈工業高等学校(水野扶佐史校長)の電子機械科の生徒を対象に、第二種電気工事士の資格取得を支援しようと、計4回にわたる講習を実施した。学科講習2回、実技講習2回のプログラムを企画・実施し、県内の電気工事業界の担い手の育成に力を注いだ▼5日夕方からは、実技試験のための講習会を開催。青年部や会員企業の社員ら11人が同校を訪れ、2、3年の生徒5人に実技試験のポイントや自分たちの技術などを伝えた▼先生方に話を伺うと、「これほど多くの皆さんに集まってご指導をいただき、驚いている。本校としても、大変ありがたい」と語っていた▼生徒らは、先輩技術者からのアドバイスを受け、技術を身に付けようと真剣なまなざしだった。「多くの建設工事に携わり、たくさんの人に笑顔を与えたい」と語る生徒も。講習の経験から、電気工事士になりたいとの思いを強めた様子も伺えた。和気あいあいとした雰囲気も感じられた。学びの意欲は、技術の継承につながる。
●つむじ風 12月18日
 1994年12月28日午後9時19分、八戸市の東方約180㌔の三陸沖でマグニチュード7・6の大規模な地震が発生。八戸市で観測した震度6を最大に、本県気象庁は「平成6年三陸はるか沖地震」と命名した▼今年で三陸はるか沖地震から30年となり、盛岡地方気象台ではホームページ内にサイトを設け、災害を振り返っている。被害は八戸市で集中。1階がつぶれた施設や施設内の歪んだ壁など被害状況の写真も掲載しており、被害の大きさを物語っている▼三陸はるか地震では、断層が地下の深い場所で大きくずれ動いた一方で、津波を生み出す要因となる浅い場所(海底付近)でのずれ動いた量が少なかったことで、大きな津波が発生しなかったと考えられている。ただ、八戸市や宮古市では、50㌢の津波が観測されたという▼三陸沖から根室沖の領域では、過去にマグニチュード7程度の大規模な地震が発生後、さらに規模の大きい巨大地震が続いて発生する事例が確認されている。災害を振り返り、改めて地震や津波など災害に対する防災意識を高めたい。
●つむじ風 12月17日
 10月に宮古市田老で起工式を実施した、田老発電合同会社の夜間連系太陽光発電所。今月上旬に現地を訪れると、太陽光パネルの設置がかなり進んでいた。運転開始は1年後の25年12月を予定しており、今後も整備の進捗が図られていく▼施設の建設は、宮古市の脱炭素先行地域づくりの一環で実施されるもの。発電所では昼間に発電した電気を蓄電設備に充電。夜間に送電することで、隣接する既設の田老太陽光発電所とともに、昼夜を問わず安定的な電力の供給を目指す▼合同会社(日本国土開発㈱、宮古市が出資予定)では、震災の津波で被災した防潮堤沿いに、太陽光パネル5127枚(総容量2969キロワット)、蓄電池1基(容量7987キロワット時)などを整備する。現地では作業が本格化し、パネルの設置は山側でだいぶ進んでいるように見えた▼電気は地域新電力会社が買い取り、市内の公共施設を中心に供給される計画だ。再生可能エネルギーの導入を着実に進め、エネルギーの地産地消と脱炭素に向けた取り組みを加速させてほしいと思う。
●つむじ風 12月16日
 奥州市が建設を進める水沢中学校の新校舎は、供用開始時期が当初予定の25年8月から26年1月に見直されることとなった。泥土状態の土壌への対応や今夏の天候、職人不足による工期の見直し、教職員の業務状況や環境測定の見直しなどを要因とする▼祈願祭の際、施工業者では猛暑や大雨、大雪といった気象をはじめ、物価高騰や建設業での時間外労働の上限規制適用、週休二日への対応を課題に挙げ、「抱える多くの課題を、交渉を含めて取り組んでいければ、今後の奥州市の工事にも役立つのでは」と話していた。懸案した事項が生じたとも言える▼供用開始時期の見直しは、同校の保護者宛てに通知済みとする。見直しについて、施工業者らに批判的な目が向かないことが願われる▼施工業者では、品質や安全確保、一日も早い引き渡しを目標にするとともに、作業員への配慮にも目を配りながら施工を進めている。現場で働く作業員らも、一日でも早く一日でも長く、快適に新しい施設で、生徒に学校生活を送ってほしいとの思いで懸命に作業に励んでいる。
●つむじ風 12月13日
 県は25年度から県営建設工事の総合評価落札方式に「チャレンジ型」(仮称)を試行導入する。施工実績評価を緩和し、施工実績の有無が評価に影響を及ぼす項目を極力除外する。県内各審査指導監から1~3件程度を実施する予定とのこと▼各審査指導監で1~3件とはやや少ないかなと思っていたが、チャレンジ型で実績をつくった企業は通常の総合評価に参加できるようになるため、段階的に間口を広げていこうとする考えのようだ。所期の目的を達成できるような運用がなされることを期待する▼4月からは、工事種別に応じた評価項目の再区分も行われる。工事種別により評価項目を「土木系」と「土木系以外」に分類し、土木系以外では「災害活動の実績等」「無償奉仕活動の実績」「維持修繕業務等の実績」が評価項目の対象外となる▼今回の見直しにより、土木系を主力とする総合建設業と専門工事業それぞれが、お互いの力を十分に発揮できるようにしたい。その工事に相応しい受注者を選定するという本分に立ち返れば、悪い選択ではないと思われる。
●つむじ風 12月12日
 県土整備部県土整備企画室は、「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策の実施状況・事例等」の11月改訂版を作成した。事例集では、県内の5か年加速化対策の取り組みを分かりやすく整理している。ぜひ多くの県民と県外の皆さんにも、ご覧いただきたい▼政府は、5か年加速化対策の対象期間を21年度から25年度までの5年間、事業規模をおおむね15兆円と設定した。激甚化する風水害や切迫する大規模地震等への対策などを柱に、全国的な取り組みが進められている。本県においても、局所的な短時間豪雨・洪水が発生していることなどを踏まえ、強靱化施策を推進している▼県土整備企画室は、事例集の作成に当たり、県内全33市町村における県の建設事業をピックアップ。道路、河川、砂防、港湾の事業分野と合わせて、「効果事例」「現在実施中」「今後実施予定」に整理している▼5か年加速化対策が最終盤を迎える中、総括的な視点が重要に。発注者、地域建設業者のそれぞれの目線を生かして事業効果をPRし、今後の予算確保につなげたい。
●つむじ風 12月11日
 岩手労働局の粟村勝行局長は、いわて年末年始無災害運動の取り組みの一環として、安全パトロールを実施。盛岡市内で進む国道46号西大橋床版工事現場を訪れ、冬季特有災害の防止へ自覚を持って取り組むことを求めた▼パトロール後に粟村局長は、足場に関して「全国的に風による崩落や転落する事例が発生している。気象状況を把握し、作業前に点検するなど対応してほしい」と注意喚起し、現場での作業前点検の重要性を強調。改めて、現場における強風、暴風、突風の影響を確認したい▼粟村局長は、作業計画と作業手順書の作成と、それに基づく手順の順守も呼び掛ける。現場は一人でなくチームで動いているもの。企業ごとに独自のルールがあるかもしれないが、チーム内のルールを守ることが大切だろう▼県内では朝晩の冷え込みが厳しくなり、今後は凍結・積雪が予想される。年末を控え、「ここまでは作業を進めておきたい」との思いが出てくるかもしれない。はやる気持ちを抑え慎重に作業を進め、まずは年末までを無事故・無災害で乗り切りたい。
●つむじ風 12月10日
 釜石市は、三陸沿岸道路の釜石両石インターチェンジ(IC)のフル規格化を求めていくため、フル化必要性検討業務を先月入札。年度内で、交通の現状やニーズなどを調査していく▼同市両石町に位置する同ICは、大槌町側へのハーフICで設置。東日本大震災の6日前に開通した三沿道「釜石両石―釜石北」区間に位置し、震災時は避難経路や支援物資輸送など「命の道」として機能した▼釜石港公共ふ頭や整備が進む同市の新庁舎からは、三沿道にアクセスする最寄りのICだが、ハーフICのため、近辺のフルICとなる釜石中央ICを使う場合、将来的な市街地の交通量の増加や、津波浸水エリアを通らなければならないことなどが課題になっていた▼市では今回の業務で、より具体にフル化に向けた課題などを整理し、国への要望資料とする方針だ。三沿道では、他のICでも地元からフル化を求める声が上がっている。沿岸地域の縦軸幹線として産業振興や災害時の対応を支えるためにも、アクセス向上を図る取り組みを進めていく必要があるだろう。
●つむじ風 12月7日
 山梨県大月市の中央自動車道上り線笹子トンネルで天井板のコンクリート板が落下し、走行中の車3台が下敷きとなって9人が死亡した事故から2日で12年が経過。現地では慰霊式が開かれた。式の様子や遺族らの声などが報じられたが、当時の衝撃は今でも思い出される▼同日は、県県土整備部道路環境課が高校生と協働で行っている橋梁点検が、一関工業高校の土木科3年生を対象に開かれた。橋梁点検の場でも、インフラメンテナンスの重要さが叫ばれるようになったきっかけとして、笹子トンネルの天井板落下事故について説明されていた▼現在の高校生は、当時を覚えてない生徒が大半と思われる。ただ、説明や点検などを通して、その重要さは生徒に十分伝わっていた様子が見受けられた▼5年に一度のサイクルで行われている構造物の定期点検の結果について見ても、修繕などの措置が必要な構造物は多く見られ、安全・安心の確保へ必要な予算を確保し、着実に進むことが願われる。専門知識を学んでいる高校生が、関係する職業に進んでほしいと思う。
●つむじ風 12月6日
 今年も1日から「いわて年末年始無災害運動」がスタートした。この運動は、年末年始における労働災害の防止に向けて、岩手労働局と岩手労働災害防止団体連絡協議会が主唱して06年度から実施しているもの。事業者は「冬季特有災害の防止」「リスクアセスメント・危険の見える化の実施」「安全決意宣言の実施」「労働災害防止団体が実施する年末年始無災害運動への参加」などに取り組む▼2日には矢巾町流通センターでキックオフセレモニーが催され、労働局や労働災害防止団体の役職員が、のぼり旗を運動期間の日数と同じ62本設置した。設置に当たって労働局の粟村勝行局長は「無災害への思いを込めながら、のぼり旗を設置したい」と話した▼運動期間は25年1月31日まで。期間中には安全パトロールなどを通して「積雪・凍結による転倒災害・墜落災害の防止」「車両等のスリップ事故等の労働災害の防止」をはじめとする冬季特有災害の防止が呼び掛けられる。労働災害防止に特効薬はない。基本に従い、日々の無事故無災害を積み重ねていきたい。
●つむじ風 12月5日
 県と県建設業協会(向井田岳会長)が先ごろ開いた「いわて建設業みらいフォーラム2024」。現場で活躍する技術者の発表や、パネルディスカッションなどが行われた。当日の様子は、YouTubeで配信しており、ぜひご覧になっていただきたい▼同フォーラムは、次世代を担う若者をはじめ、県民の建設業への理解や関心を高めることを目的に、13年度から実施しているもの。向井田会長は冒頭のあいさつで、「苦労して手掛けた道路や建築物などが完成した時の感動は、建設業でなければ味わえない」と高校生に語り掛けていた▼フォーラムでは、技術者や発注者の視点から、建設現場をつくり上げる魅力を生徒らと共有した。県建設業協会青年部連絡協議会が製作した除雪動画も映し、社会資本整備だけでなく、昼夜を問わず除雪に貢献していることも伝えた▼建設業界団体からは、建設業の魅力発信に向けて、行政・業界の一層の連携を求める声が上がっている。フォーラムを進化させながら、共に担い手確保への取り組みに工夫を凝らしたい。
●つむじ風 12月4日
 田瀬ダム竣工70周年を記念し11月30日、クレストゲートの点検放流が行われた。午前と午後の点検放流に、県内外から400人を超える来場者が訪れ、70年ぶりという歴史的な瞬間を見守った▼ゲートは1門ずつ計6門開き、2㌢、4㌢、最大6㌢開いた。「サー」という音とともに濁水が流れ落ち、6㌢の開放になると音が力強くなり水流も勢いを増し、雪化粧をまとったような姿に。6㌢開放時は6門で毎秒19㌧なので、10分間で1万1400㌧ほど放流したことになる▼当日、濡れてもよい服装で現地に赴いた。左岸下流広場では、バルブ放流の段階から水煙が飛び散り、点検放流でも降り注いだ。愛好家の中では「ダム汁」というらしい。カメラには注意したが、メガネや髪はダム汁でびしょ濡れに…。ただ、冷たさよりも喜びが上回っていた▼来場者からは「県内のほかのダムも訪れたい」「また放流の様子が見たい」との声が上がっていた。今回の点検放流をきっかけにインフラに対する興味や関心が広がり、インフラツーリズムの拡大にもつながってほしい。
●つむじ風 12月3日
 宮古市は旧商業施設「キャトル宮古」の跡地整備に向け先週、「宮古駅前エリア官民連携検討業務委託」の公募型プロポーザルを公告。計画の具体化に向け準備を進めていく▼業務では、店舗跡地を中心とした駅前の公共用地について、官民連携事業を想定した方針を検討。跡地利用に係る市民ワークショップの意見を反映させた事業内容や、収益性のある事業手法を詰め、25年度末までに基本計画案を策定する予定だ▼市民ワークショップは9、10月に開催。20代から40代の若者・子育て世代が、利用者を▽未就学児▽小学生から高校生まで▽働き盛り世代▽高齢者▽観光客―に分類し、対象ごとにどのような場所が求められるかアイデアを出し合った▼参加者からは、小学生から高校生向けに「学校以外で仲間と楽しくチャレンジできる場所」、観光客向けには「観光を楽しむ準備ができるワクワクを増幅する場所」などの声が寄せられたという。地域に親しまれ、にぎわいを創出する拠点としていくためにも、市民の意見を計画の中にうまく落とし込んでほしいと思う。
●つむじ風 12月2日
 寒さが日に日に厳しくなり、思わず身が縮こまる。身が縮こまることで、動作が鈍くなっているのを感じるが、こうした筋肉の硬直に加え、厚着も動作が鈍くなる要因とされる▼これからは積雪や凍結シーズンも本格化していき、足元の状況は悪くなる。動作が鈍くなることも相まって、現場では労働災害の危険性が高まる▼12月からは、岩手労働局で「いわて年末年始無災害運動」を25年1月31日までの期間で展開するほか、2月までを「冬季転倒災害防止対策強化期間」と定め、連動して転倒災害防止に向けた取り組みを行うこととしている。一関労働基準監督署などが主唱する「冬季死亡災害ゼロ100日運動」といった各地区独自での取り組みも展開されている▼各種運動には、重点とする取り組み項目や注意事項などが掲げられ、それらも参考に冬期間の災害防止に努めていきたい。厳冬期に現場安全パトロールを展開する業界団体も多く見られ、活動の一つひとつが危険の芽を摘み、無災害へつながっていってほしい。発生してしまったなら、労災の影響は大きい。
●つむじ風 11月29日
 県は、災害対応力の強化に向けてデジタル技術活用の方向性を検討するため、23年度に復興防災DX研究会を設置。本県における災害対応の現状と課題の整理、先行事例の調査などを行っている▼「デジタル技術を活用した災害対応業務の効率化・省力化・標準化」や「現状の技術にとらわれない将来的な災害対応業務の検討」など4点を重点課題として研究を進め、「被災者データベースの構築」と「災害時のドローン活用」の実証実験を行っている▼被災者データベースの構築では24年度、避難者把握システムの「岩手モデル」について、久慈市と遠野市で実証実験を行った。県では早ければ、26年度以降の社会実装を目指す考え▼ドローンの活用については、災害時における導入マニュアルの作成を進めるほか、防災分野以外での有事に活用可能なドローンの把握、災害時の応援協定の締結など民間と連携したドローン活用の取組検討などを進める予定。建設業との連携も視野に入っている様子であり、どのような協力が可能か、動向を注視していく必要がある。
●つむじ風 11月28日
 今日付の本紙4~5面では、建設DX推進事業特集を掲載している。23年度に続き2回目の特集となる。23年度は東北地方整備局による建設DXの取り組みなどを中心に掲載。24年度は、県内の取り組みなどにスポットを当てている▼県土整備部建設技術振興課の久保田和憲総括課長はインタビューの中で、ICTなどが少しずつ県内に浸透していることに触れ、今後の広がりに期待を寄せていた▼建設業の魅力や現場で働く職人らの姿も話題に。久保田総括課長は「若い人に建設業の格好良さ、目に見えないものを感じ取ってほしい」「表面的な体裁を繕うのではなく、工事の本質を分かっていることが大事」と話していた▼県建設業協会の向井田岳会長が以前、「技術者・技能者は現場を熟知している。ICTやDXなどの施策があるが、地元でしっかりと働けるような仕組みであってほしい。ふるいにかけるような道具としてはならない」と語っていたことも思い出す。熟練の技術者・技能者と若手、ICT・DX。一体となった現場づくりが大切になるのだろう。
●つむじ風 11月27日
 県建設業協会花巻支部(菅原陽一支部長)は先日、建設業労働災害防止安全衛生研修会を開催。研修会では、花巻労働基準監督署の武藤慶蔵安全衛生課長を講師に災害事例とリスクアセスメントの二つをテーマに7班に分かれ、グループワークを実施した▼リスクアセスメントでは、木造建築工事と排水路改修工事を例に、施工前の施工計画段階でリスクを把握。建築工事では墜落・転落災害を、土木工事では重機関連災害を、いかにして軽減するか各班で意見を出し合った▼同署管内では建設業で3件の死亡労働災害が発生している。武藤課長は「残された私達にできることは、同じことを絶対に繰り返さないこと」と話し、事前に危険要因を浮き彫りにし、より安全な施工計画で作業を進めることの重要性を強調する▼本格的な冬を迎え、現場での作業条件は一段と厳しくなる。冬季特有の危険要因もあるため、本格的な施工時期を前に、リスクアセスメントを実施することで安全性を高め、「現場のゼロ災害」を強い意志を持って進めていかなければならない。
●つむじ風 11月26日
 東北地方整備局三陸国道事務所が事業を進めている宮古盛岡横断道路の「田鎖蟇目道路」。終点部に新設される橋梁では、このほどA2橋台下部工の施工業者が決まり、工事の進捗が図られていく▼田鎖蟇目道路は、宮古市田鎖から同市蟇目を結ぶ延長7・2㌔の自動車専用道路。事業区間の国道106号は、急峻な地形を通り閉伊川も並行。16年台風10号の際には、道路決壊に伴う全面通行止めが発生した。このため田鎖蟇目道路の整備により、災害時の交通障害や孤立集落の解消が期待されている▼A2橋台が整備される同橋の規模は、橋長が228㍍、有効幅員は12―30・632㍍。上部形式は鋼3径間連続細幅箱桁橋で設置される。対岸のA1橋台は発注済みで現在、工事が推進中。P1橋脚下部工も入札が公告されており、橋梁工事が本格化していく見通しだ▼同橋の下流でも災害に強いインフラ整備として、宮古市による道路改良や、県による花輪橋の架け替え事業が進められている。着実に事業の進展を図り、地域の安全・安心な暮らしを守ってほしい。
●つむじ風 11月25日
 県内に立地する北上川五大ダムのうち、竣工から奥州市胆沢の胆沢ダムは10周年、西和賀町の湯田ダムは60周年、花巻市の田瀬ダムは70周年の節目を迎えた。さまざまなイベントが展開されている▼胆沢ダムに関しては、みちのくダム湖サミットin胆沢や記念式典でパネルディスカッションが催され、ダムへの期待などを探った。地域振興などの観点で、これまでもさまざまな活動が実践され、今後も多くの期待を寄せる発言が相次ぎ、ダムに秘められた可能性の大きさが伺えた▼近年の豪雨、猛暑などに伴う水不足といった気候変動にも、ダムは大きな役割を果たす。事前にダム湖の水位を下げての運用により、豪雨時により多くの雨水を貯水でき、下流河川の治水安全度向上が図られる。胆沢ダムでは、今シーズンの少雪・少雨でも胆沢平野に農業用水などを補給し続け、農業被害の回避に貢献した▼カーボンニュートラルの観点では、春の雪融け水を活用して水力発電量を増やす、ハイブリッドダムの取り組みが進む。ダムの担う役割は、大きくなり続けている。
●つむじ風 11月22日
 岩手労働局は先ごろ、23年度に実施した長時間労働が疑われる事業場に対する監督指導の結果を公表した。監督指導を実施した240事業場のうち47・5%に当たる114事業場で、違法な時間外労働が確認された。うち1カ月当たり80時間を超える時間外・休日労働が確認された事業場は47・4%で、13・4ポイント上昇した▼建設業では、監督指導を行った28事業場のうち、85・7%に当たる24事業場で法令違反が認められており、違反率は22年度の81・4%から4・3ポイント上昇。このうち違法な時間外労働は64・3%で、22年度からは23・6ポイントも上昇した▼24年4月からは、建設業にも時間外労働の罰則付き上限規制が適用となっており、これが来年の調査結果にどのように影響するか。上限規制に対応したことで改善につながればよいが、結果的に違反率が上昇するようでは本末転倒▼今回の調査結果からは違法な時間外労働が発生する背景は読み取れないが、受注産業という特性を踏まえて問題点を検証し、発注者とともに対策を講じていかなければ、「違反」が増えるだけだ。
●つむじ風 11月21日
 国土交通省と北海道・東北6県などが、入札契約制度や建設産業の課題に対する取り組みについて意見を交わした「24年度下期北海道・東北ブロック監理課長等会議」。同会議では、全ての市区町村で25年度中に週休2日工事が実施されるよう、働き掛け・助言に取り組むことなどを申し合わせた。公共発注体制の強化のテーマでは、全国の取り組みのうち、本県の事例を取り上げて情報共有した▼県では東北地方整備局と連携し、時間外労働の上限規制の周知をはじめ、週休2日工事の発注者指定型の導入や拡大、施工時期の平準化、書類の標準化―などを市町村側に説明。副首長を中心とする自治体トップに、対話による働き掛けを行った▼国交省の担当者は「他のブロックでは、あまり例のない取り組み。数字としても確実に効果が現れている旨、岩手県から報告を受けている」と評価していた▼毎年開かれている建設業地域懇談会などの場では、業界側からさまざまな声が上がる。引き続き業界の声を丁寧に整理し、発注者と受注者で共に課題を乗り越えたい。
●つむじ風 11月20日
 米大リーグのアストロズからフリーエージェントとなった菊池雄星選手が手掛ける全天候型複合野球施設「King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」が完成。17日に花巻市南新田の現地でオープニングセレモニーが行われた▼菊池選手は「この場所からプロ野球やメジャーリーガー、野球以外でも社会を支えるリーダーを育てたい」と期待を込めた。会見では、「自分の能力に制限をかけるのは自分。夢を更新しながら、自分で問題解決できるかが重要」とも▼施設の説明を受けながら、「ボールを切って投げる」「打つ時はボールに右腰をぶつけるように」「腰を落として捕球するように」…感覚的な助言。雑誌に掲載された連続写真と解説を参考に、見よう見まねで取り組んでいた過去を思い出していた▼施設は野球に特化し、投球や打撃に関する最先端の測定機器を備えた施設。解析結果は体の仕組みを理解する上でも貴重なデータだろう。解析結果をほかのスポーツにも活用することで、岩手のスポーツ全体の底上げにもつながってほしい。
●つむじ風 11月19日
 盛岡市の水道事業が90周年を迎えることを記念し、17日に開かれた同市の水道フォーラム。当日はパネルディスカッションが企画され、水道事業の在り方について意見を交わした▼パネリストとして戦場カメラマンの渡部陽一氏は、「日本は水が豊富で、生活の中で安心して水に向き合うことができる」とし、「風呂や洗濯など、水を選択して使える生活というのは、諸外国からみるとまさに奇跡」と自身の経験から語っていた▼自社のビール製造で盛岡市の水道水を使う、㈱ベアレン醸造所の嶌田洋一社長もパネリストとして、「清潔な水が毎日、ふんだんに飲める大切さを実感する。水道水をビールを通して世界中に広めたい」と、改めて水道のありがたみについて話した▼長澤秀則同市上下水道事業管理者は、「施設の耐震化は最重点課題」とし、自然災害に備えていく考えを強調していた。豊かな水環境を次世代に伝えていくためには、市民の事業に対する理解が不可欠。水道の重要性を発信し続け、次の100周年に向け安全でおいしい水を守ってほしいと思う。
●つむじ風 11月18日
 初霜や初氷、初雪の便りが届き、冬期閉鎖する区間を有する路線で冬期通行止めの措置が講じられるなど、県内も着実に冬への歩みが進む。県内各地では、除雪機械の出動式が催され、作業を担当するオペレーターも気を引き締めていることだろう▼近年の出動式などでは、長年除雪作業に従事してきたオペレーターを除雪功労者として表彰することが多くなってきている。長年の従事に対する表彰に加え、作業に従事し始めた若手のオペレーターらを応援する思いで、若手技術者を表彰している地域も出てきている▼表彰は、除雪業務を周知する目的も含まれている。除雪は住民の足確保へ重要な仕事で、厳しい環境下での作業の一方、作業が未明の時間帯とあって、あまり知られてない状況から、除雪を広報する活動は近年、盛んになってきている▼県建設業協会青年部連絡協議会でも除雪に関して、マンガ冊子や「You Tube」での公開に加えて、今年度はポスターを製作。ポスターは、各地の部会員が知恵を絞り、広く県民の集まる場所に掲示されている。
●つむじ風 11月15日
 10月下旬に「米代川圏域流域治水プロジェクト」が策定されたことで、県内48全ての水系で流域治水プロジェクトの策定に至った。本県では21年度までに1級水系2水系と2級水系5水系で流域治水協議会を設置し、流域治水プロジェクトを策定。流域全体のあらゆる関係者が協働で、事前防災対策の取り組みを進めてきた▼近年の気候変動によって豪雨の発生場所や時間などの予測が困難になっており、既存のモデル水系以外にも豪雨の発生が懸念されていることを受けて、県は23年度から流域治水プロジェクトの対象を、「水系」から「圏域」に拡大した。県内全水系で流域治水プロジェクトが策定されたことを受けて、県では流域治水とその事業効果の普及啓発などに努めていく考え▼流域治水における「あらゆる関係者」の中には、国や県、流域自治体だけではなく民間も含まれる。主に自主防災組織などが対象となっているようだが、日頃から地域に根差して社会資本の整備と維持管理に当たり、事前防災と応急対応の両面で最も活躍できる存在を忘れていないだろうか。
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