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2024年
4月20日(土)
07:51

コラム集

●つむじ風 4月19日
 某国民的子ども番組の中で「もしも季節がいちどにきたら」という曲があった。お花見と一緒に紅葉狩りをしたり、海で泳ぎながら雪合戦をしたり、きっと楽しいだろうねという、ほのぼのした内容で、ご記憶の方も多いのでは。今でも歌われてるのかな▼近年の温暖化の影響か、大雪が降った翌日に暑いぐらいの日が差し、真冬なのに雨が降る。今月15日には桜満開の時期だというのに盛岡などで夏日を記録。毎日何を着て出勤したものか、先日はうっかり上着を忘れたために帰宅時に寒い思いをした。季節が一度に来ても案外楽しくない▼夏に向かって建設現場で懸念されるのは熱中症。厚生労働省などが主唱しての「STOP!熱中症クールワークキャンペーン」が5~9月の期間に実施される。4月は準備期間に当たり「暑さ指数の把握の準備」「緊急時の対応の事前確認」などのチェックが呼び掛けられている▼本格的な猛暑時期の前には、暑熱順化ができておらず少しの暑さで体調不良を引き起こすケースも。急に暑くなる日もある。準備期間から油断なく。
●つむじ風 4月18日
 2014年4月から掲載している「きらり輝く職場の星 スマイル・けんせつ女子部」が、本日で100回目を迎えた。ご協力いただいた女性の皆さまをはじめ、各職場や関係者の皆さまに心から感謝申し上げます▼「スマイル・けんせつ女子部」は、県内の建設企業や土木・建築行政に従事する女性技術者らを紹介し、県土づくりの現場で活躍する女性たちを応援する連載企画。弊社の女性記者がそれぞれの現場や職場を訪問し、建設業に入職したきっかけや仕事のやりがい、今後の目標などについて伺っている▼いわて女性の活躍促進連携会議に設置された5部会の一つである「けんせつ小町部会」では、22年度に誰もが働きやすい建設業界を目指し、提言書を策定。23年度には、社員が建設業界で長く働くことなどを願い「経営者の皆様へ~社員の思い」も作成している▼女性が建設業で働き続けるためには、まだ課題もあるだろう。建設業で働きたいと意欲のある女性がより活躍できる業界へ。弊紙では、これからも建設業で輝く女性の皆さまを応援していきたい。
●つむじ風 4月17日
 東北地方整備局北上川ダム統合管理事務所が管理する田瀬ダム。今年10月に竣工70周年を迎える。記念事業の一環として、県内の国管理ダムで初めて監査廊にワインを貯蔵する▼田瀬ダムは、国直轄ダム1号として1941年に着工。太平洋戦争やカスリン、アイオン両台風を経て1954年に竣工した。70年という歴史は堤体にも表れ、まんべんなく付着した苔を例えて、黒美人と表現されている▼今回ワインを貯蔵する監査廊は、ダムの高さ81・5メートルのほぼ真ん中に位置。初めて入った時に感じたのは高さと、横に線が入っていること。高さは約4メートル。横に線が入っていると感じたのは、監査廊を造る際に木の型枠を使用したことによるもので、近くで見ると型枠の木目が残っていた▼幾多の困難を乗り越え竣工した田瀬ダム。現在に至るには、職員や維持工事を担ってきた企業という縁の下の力持ちによる日々の適正な運用や維持管理があってのこと。黒美人に足を運び、これまでの歴史を振り返り、熟成されたワインの味に思いを馳せるのもいいのではないだろうか。
●つむじ風 4月16日
 東日本大震災や台風被害などを乗り越え、開業40周年を迎えた三陸鉄道。13日の記念式典には沿線自治体の首長らが出席し、改めて鉄路により地域振興に寄与していくことを誓っていた▼式典であいさつした石川義晃代表取締役社長は、開業40周年とともに、震災による全線復旧から10年になることも話し、地域住民、全国からの応援に感謝。人口減少や修繕費の高騰など経営環境は厳しさを増しているが、「三陸鉄道は、全国の第三セクター鉄道の中で最も長い路線を有し、全国で最も沿線住民から愛されている」と述べ、地域の足として三陸の振興に貢献していく決意を語っていた▼当日の記念講演では、鉄道写真家の中井精也氏が開業当時からの歩みを写真で見せつつ、「三陸鉄道からは『人と鉄道を撮る』という大きなきっかけをもらった」と、振り返った▼「三鉄は奇跡の鉄道。今後も50年、100年と走り続けてほしい」とも。これからも地域の「マイレール」としての意識を醸成しつつ、沿線の暮らしを支え、三陸の魅力を発信し続けてほしいと思う。
●つむじ風 4月13日
 「年齢を重ねていくにつれて、花鳥風月の順に良さが分かってくる」といった表現がされる。なるほど、かつては花見の席でも桜には目もくれず、飲食をしながら楽しく過ごすのがメインだったのが、桜の花を愛でている場面が多くなった気がする▼観測史上最速だった昨年ほどでないが、県内の桜前線は平年より早く北上しているようだ。3月は気温の低い日が続き、足踏みのような気象で推移したものの、4月に入ってから一気に気温が上昇してきている▼近々、花見を計画する読者も多いことだろう。花見ではなくとも、新入社員らを迎え、歓迎会を計画する職場も多い時期。近年の若手は、飲み会を好まない傾向にあるともされるが、親睦を深める場となる▼花鳥風月一つを取っても年齢を重ねたことを感じるが、職場に入ってきた貴重な新入社員など若手の定着へ、適切な指導に当たっていきたい。時にジェネレーションギャップも感じながら。個人的には、鳥の良さを感じるようになりつつあるものの、風や月の良さを理解しきるまでにはまだ至ってないか。
●つむじ風 4月12日
 能登半島地震からの復旧・復興に対して、財務省が「集約的なまちづくりやインフラ整備の検討」を提言したとの報道があった。同省の諮問機関である財政制度審議会財政制度分科会の席で説明したようだ▼当日の配布資料を見ると、東日本大震災後の土地区画整理事業により整備した土地について「平均7割程度が利用されている一方、利用が低調な事業も散見される」といった記載もある。東日本大震災の復興が、まるで「失敗から学ぶための教材」のような印象を与えるのではと危惧される▼人口減少などの社会情勢を踏まえ、コスト意識を持った整備を訴える意図もあるのだろうが、「皆さん地元に戻ってくるつもりはないでしょう。ならばフルスペックの復興はお金の無駄ですよ。東日本でもそうだったじゃないですか」とも聞こえる。そうでないと信じたいが▼分科会では、地域の実情や住民の意向に配慮すべきという意見が委員から出たとの報道もある。財政規律の順守はあくまでも行政運営上の手段に過ぎない。なすべきことは「より良い復興」一択だ。
●つむじ風 4月11日
 新年度の始まりに伴い、行政機関や建設企業など、取材先の顔触れなどが新しくなっている。小紙においては、記者職として新たに1人が加わった。入社から1週間ほどとなる中、着実に仕事の内容を覚えてもらっている▼筆者は、その新入社員の相談に乗ったりするメンターという立場で、業務内容などを伝えている。新入社員から、「これはどのような意味ですか」と質問された際に、ハッとさせられ即答できないことも―。筆者自身も気を引き締めて、日々学ばなければならないと実感させられた▼県建設産業団体連合会(向井田岳会長)と県建設業協会(同会長)では、関連団体などとの共催のもと、建設業新規入職者教育を例年実施している。24年度の教育カリキュラムは24日、25日の2日間の日程で行われる予定だ▼教育カリキュラムでは、県土整備部や岩手労働局の取り組み・業務概要をはじめ、一般的なマナー、建設業の基本などを学ぶことができる。新入社員同士のつながりを深めながら、建設行政・業界の先輩方と顔の見える関係を構築してほしい。
●つむじ風 4月10日
 「日本で二番目に大きい岩手県は、インフラのスケールも大きいぞ!」。3月末に発刊したKids(キッズ)版のインフラツアーポイントガイドで、本県のインフラを紹介するページの冒頭に書かれている▼同ガイドブックでは、建設業とはとの問いに、「みんなの暮らしに必要な『インフラ』をつくり、それを守る仕事をしているよ」と答えている。自然災害への対応として、施設が安全かを確認するとともに、壊れたインフラを直していることも紹介している▼本県のインフラとして、四十四田ダムと思惟大橋・思惟花笑み大橋、錦秋湖大滝(湯田貯砂ダム)、釜石港湾口防波堤―の四つを列挙。見どころや子どもが楽しめる体験情報、周辺のおすすめ情報、施設内や周辺でできる体験・見学情報などポイントが満載▼ガイドブックには、東北の旬なインフラ施設が一冊にまとまっている。キッズ版だが、大人が訪れても堪能できる施設であり、周辺にも多くのインフラが存在している。マイ・インフラガイドブックを作ってみるのも良いのではないだろうか。
●つむじ風 4月9日
 21年12月の全線開通後、沿岸地域の暮らしや物流、観光などの発展を支えている三陸沿岸道路。一方で、沿線自治体からはさらなる利便性の向上に向け、ハーフインターチェンジ(IC)のフル化などが要望されている▼釜石市は今年度の当初予算に、新規事業として「釜石両石ICフル化必要性検討事業」を予算化。300万円を充て、現在、ハーフICとなっている釜石両石ICのフル化に向け、市内の渋滞状況や企業活動におけるニーズ調査などを実施していく考えだ▼同市では新庁舎の建設工事が本格化。釜石両石ICは、新庁舎の整備場所から三陸沿岸道路に接続しやすい位置にあり、さらに釜石港も近いため、以前からフル化を望む声が高まっていた▼釜石市だけでなく、沿線自治体からは新設する学校への通学や、漁港、道の駅の利便性向上、観光産業の振興等に向け、ICの新設・フル化、さらに追い越し車線の延伸、案内・誘導看板の設置などを求める声も多く聞かれる。道路を生かした地域の活性化を図るためにも、着実な機能強化を目指してほしい。
●つむじ風 4月8日
 今日8日から、新学期となり始業式や入学式を迎える小中学校や高校も多いことと思う。学校へ登校する児童、生徒に気を付けながらハンドルを握る日々が再び始まる▼個人的に学校の近隣を通行しており、登校する子どもたちが多い一方、歩道がなく狭い道路もあり、細心の注意を払っている。近年は、歩道はない場合でも、路肩を広くして歩行スペースを確保し、カラー舗装を施すなど分かりやすく区分けする路線も増えてきている▼歩道や歩行スペースの確保は、安全に安心して運転するために有効なものだが、快適に通行できることが、速度を上げることにつながり、逆に大事故につながる側面もある。実際に、センターラインなどをなくすことで、運転がしづらい状況となったものの、速度の抑制につながり、事故が減った事例も見られる▼どのような措置を取ることで、子どもたちが安全に安心して登下校できるか。通学路では毎年、地元や学校、警察、道路管理者らが危険箇所などを点検している。有効な措置を講じて、子どもたちを守ってほしく思う。
●つむじ風 4月5日
 県が先ごろ公表した24年度の発注見通しを見ると、1日現在の発注見込み件数は586件で前年度を88件下回った。年度末に発注が集中したことを差し引いても「少ないなぁ…」と嘆き節の一つも聞こえそうだ▼県の24年度公共事業費は前年度から6・4%増、23年度12月補正予算と合わせた実行予算でも6・3%増と、期待した向きもあったのだが。特にも概算額2500万円未満の工事の減少幅が大きく、気になるところ▼建設現場の最前線で働く担い手が減っている。インハウスエンジニアのなり手も減っているとか。事業量も減り、受発注者ともに人がいない。目減りしているのは建設事業の量だけか、その必要性や魅力が減っているとは思いたくないが▼人口減少社会の中「従来のような公共事業は必要ない」という声も聞かれる。その論の是非はともかく「従来のような」が必要ないならば、集約化や機能強化など、シュリンクしていく社会にふさわしい公共事業の在り方を考えていく必要がある。その中に、建設の仕事に新しい魅力も生まれてくるだろう。
●つむじ風 4月4日
 2日の早朝、本県と青森県において震度5弱を観測する地震が発生した。県内では、久慈市や宮古市などで震度5弱を観測した。頭をよぎったのは、津波のことだった。その後の速報で津波の心配はないとのことで、ホッとした▼「まさか連日で―」。3日の午前8時58分ごろ、台湾付近で発生した地震に伴い、津波警報が沖縄本島地方などに発表された。実際に津波も観測された様子で、改めて災害に対する日頃の備えの重要性を認識した▼筆者は先ごろ、遠藤譲一久慈市長にインタビューする機会を得た。その中では、千年に一度とも言われるような津波への備えの難しさを伺った。「地震や津波による犠牲者をゼロにするためには、市民の協力が不可欠」「国、県と共に命を守るための体制を強化したい」とも▼本県をはじめ、人口減少が著しく進行している地方では、津波避難路や避難施設の整備などに係る財政負担も今後の大きな課題になるだろう。財政規模の大小によって講じられる対策に差が生じることのないよう、国全体としての防災・減災を考えたい。
●つむじ風 4月3日
 東北地方整備局や東北6県、東北建設業者団体などで構成する東北みらいDX・i―Construction連絡調整会議は、ICTサポーター89社を認定。1日から運用を開始した▼業態別では、測量業者45社、建設コンサルタント40社、建設業者と建設IT企業がそれぞれ18社など。管内では宮城の31社に続き、本県が全体の2割となる17社。そのうち6社が建設企業というのも特徴だろう▼22年度に始まり、2カ年で約600件の活動実績がある。ICTサポーターには誰でも支援依頼が可能で、サポーターの活用に要する費用はサポーターと支援依頼者で協議して決める。電話やオンラインなどによる短時間の支援は原則無償となっている▼ICTを含めたDXには、組織として認識を共有し、体制を構築できるかが鍵を握る。ICTサポーターに認定された企業は、成功体験が前面に出ているが、その背景には必ず試行錯誤を繰り返しているだろう。取り組みたいけれど…と悩んでいる企業があれば、制度を活用し新たな一歩を踏み出す機会にしてほしい。
●つむじ風 4月2日
 先週、新市庁舎の建設工事で安全祈願祭が開かれた釜石市。現地では造成工事が本格化し、年内には本体に取り掛かる見通し。25年12月の完成に向け、工事が進められていく▼建設場所は、現庁舎から北に約150㍍離れた、同市天神町の旧釜石小学校跡地。庁舎棟は、鉄骨鉄筋コンクリート造一部鉄筋コンクリート造一部鉄骨造5階建て、延べ床面積約8000平方㍍の規模で、現在、分散している施設を集約し建設される▼庁舎の建て替えについては、約40年前に検討を開始。その後、東日本大震災を経て、事業は復興のフロントプロジェクトとして取り組みが進められてきた。以降、国・県の津波浸水想定による計画の見直しや、資材高騰の影響で整備スケジュールがずれ込み、今回、待望の本格着工となった▼安全祈願祭で小野共市長は、「新庁舎が目に見える形で進むことは、釜石にとって明るい希望につながる」と期待を込めた。行政拠点のみならず、市民の憩いの場、災害時には一時避難場所にもなる施設だけに、円滑な整備が求められるだろう。
●つむじ風 4月1日
 冬期通行止めとなっている八幡平アスピーテラインと八幡平樹海ライン、一般県道夏油温泉江釣子線の北上市夏油温泉~夏油高原スキー場分レ、国道342号の一関市厳美町須川~真湯間などでは、通行止め解除に向けた春先除雪がスタート。多くの路線が、例年5月の大型連休前ごろまでに開通を迎える▼区間の除雪作業に長年従事してきたオペレーターに「これだけ長くやっていると作業は慣れているか」と質問したのに対し、地形などについては頭に入っているとしながらも、雪の状況は読めないと話していたのが印象的だった。「雪の状況は毎年違い、慣れはない」と気を引き締めていた▼今シーズンは暖冬傾向だったものの、2月下旬ごろから気温が低く推移。3月には季節外れの大雪に見舞われ、その後も気温はあまり上がらず推移してきた状況下で、雪が積もった状態の地域もあるようだ▼春先除雪の開始を取材してきた立場からも、とある区間の雪質は例年より柔らかさを感じた。進捗状況をにらみつつも、安全には留意して作業に当たってほしい。
●つむじ風 3月29日
 建設業における時間外労働時間の罰則付き上限規制が4月からスタートする。これに伴い国交省や県にとどまらず、市町村においても発注者指定型による週休2日工事が導入されるようだ。東北地方整備局によると、24年度は地整、6県、市町村の75%が発注者指定型による週休2日工事に取り組むとのこと▼本県は73%に当たる24市町村が年度当初から適用。7市町村が年度途中から適用予定で、2市町が未定だとか。昨年9月下旬に本紙が県内市町村の週休2日工事実施状況を調査した時点では、実施している市町村は11市町で、全体の3分の1。発注者指定型を導入していたのは3市のみだった。半年もあると状況は大きく変わるものだ▼発注者指定型による週休2日工事の拡大は「2024年問題」への対応だけではなく、中長期的な担い手の確保と育成に向けた危機感の表れだろう。ここ10年ほどは「仕事はあるが、人がいない」状態が慢性化していた。これからは「仕事はないが、それ以上に人がいない」の時代。建設業で働く意義の認知度向上も急務だ。
●つむじ風 3月28日
 県総務部管財課では、県庁舎の30年後を見据えた改修・建て替えの判断に資する資料として、「県庁舎の在り方報告書」の作成作業を進めている。先ごろの県議会2月定例会の総務委員会では、同報告書の骨子案の概要などを説明した▼骨子案に盛り込まれている県庁舎のあるべき姿としては、①防災拠点として安全・安心な庁舎②環境に配慮した長寿命な庁舎③将来の変化に対応できる機能的・効率的な庁舎④誰にも親しまれる利用しやすい庁舎―の4点を柱に掲げている▼県庁舎の位置に関し考慮すべき事項としては、交通のアクセス性や官公署などとの関係性、災害に対する安全性、用地に係る費用負担などの面から整理。盛岡市と県内各地を結ぶ主要道路からアクセスしやすい場所が望ましいとの方向性などを盛り込んでいる▼県では今後、有識者懇談会やパブリックコメントなどを実施し、出来るだけ早期に同報告書の最終案を取りまとめたい考えだ。将来、立地エリアのまちづくりに貢献する県庁舎とするためにも、丁寧・着実に議論を深めてほしい。
●つむじ風 3月27日
 県と花巻市、NEXCO東日本が共同で整備を進めてきた東北自動車道の花巻PAスマートインターチェンジ(IC)が20日に開通した。荒天のため現地での式典はなかったが、花巻市文化会館でテープカットやくす玉開披で開通を祝った▼式典で東北地方整備局の山本巧局長は、全国で1500ほどあるICの中で、1割を超える150カ所ほどがスマートICとして整備されたことを紹介。さらに、「日本のICの間隔は平均10㌔だが、欧米は約5㌔ピッチで整備している」とも▼花巻PAスマートICは、県内では初となる環道型退出路を採用。誤進入やETC車載器にトラブルが生じた場合、立ち往生することを防ぐ。また、花巻PAはバリアフリー化やトイレのリニューアル工事を実施し、より使いやすいPAとなって生まれ変わった▼開通により新たな流れを生み、産業や観光の振興につながることが期待される。一方で、他のスマートICでは、スマートICへの案内や観光施設までの案内に対する不満が出されている。今後の動向を注視していきたい。
●つむじ風 3月26日
 能登半島地震の被災地へテックフォース(緊急災害対策派遣隊)を派遣していた東北地方整備局岩手河川国道事務所は先週、活動報告会を開催。派遣隊員が活動の内容や留意点を示し、他の職員と情報共有を図った▼同事務所では、1月6日から2月27日まで、道路班4回、砂防班2回、河川班1回の計7回にわたり、隊員として職員延べ28人を派遣。1班4人構成で、河川、砂防は石川県珠洲市、道路は同県穴水町の被災状況を調査してきた▼報告会では隊員が活動の留意点として、4WD・車高の高い車両の有用性や、トイレの場所、スマホの通信可能エリアなど事前確認の大切さを指摘。交通渋滞や移動ルートが限られ、所要時間がかかることも語っていた▼特に積雪で被災箇所が覆われてしまったことには苦慮した様子。地割れ、段差などが雪で隠される中、安全を確保しつつ除雪しながらの徒歩調査。隊員からは「調査は天候との闘い」との言葉もあった。限られた時間で、どれだけ最善を尽くせるか。今回の報告内容を糧に、次の支援活動につなげてほしい。
●つむじ風 3月25日
 高校生を対象とした就職説明会の取材をしていた際、とある建設企業のブースに多くの生徒が訪れ、熱心に説明を聞いている様子を目にした。生徒から人気を集める企業と感じ、企業の方に話を聞いたなら「あまり、あてにならないかもしれない」とのこと。さらに話を聞くと「前年は、この高校からの採用は0人だった。かすりもしなかった」という▼就職説明会は、2年生を対象に開かれたもの。以前に高校側から聞いた話では、2年生の学年末の時期には、進路について漠然と考える程度の生徒も多いようで、3年生になってから職業について詳しく調べたり、求人票を見比べるなどして進む道を固めていく傾向にもあるようだ▼2年生末の時期の生徒に対しては、職業に興味を持ってもらうきっかけを与える程度にして、その後さらに踏み込んだ取り組みというのが有用なのだろうか。それとも、もっと早い段階となる高校1年生や中学生のころから建設業への興味を抱かせるような取り組みを進め、少しずつ着実に地盤を固めていくような形が良いのだろうか。
●つむじ風 3月22日
 県北広域振興局土木部二戸土木センターは、除雪功労者表彰と併せて、県内で初めて「除雪若手技術者奨励表彰」を行った。「近年新たに除雪業務に従事した人」「満40歳を迎えていない人」を対象に、今回は4人を表彰した▼除雪業務の担い手不足が深刻化していることを背景に、新たに除雪業務に従事した若手の励みとするとともに除雪技能の向上を目指して実施するもの。今後は、ほかの土木部・土木センターにも拡大していくことになるだろう▼県土整備部では21年度から、熟練オペレーターの技能や知識の継承を目指して、県から除雪を受託している企業を対象とした若手除雪オペレーターの育成支援事業を実施。これら一連の取り組みを通じて、発注者として除雪の担い手の育成確保に努めている▼建設業の「新3K」、時間外労働の罰則付き上限規制、若年労働者の確保と育成等々…。災害や除雪への対応に限らず、制度と現実、本音と建て前が複雑に交錯し、一筋縄ではいかないが、「県民の安全で安心な生活の確保」という本質を見失わない議論が必要だ。
●つむじ風 3月21日
 東北土木技術人材育成協議会がこのほど、仙台市内で開かれた。24年度も土工や舗装、コンクリート、構造物設計の土木コースと、ICT・UAV、インフラDX、遠隔操作式バックホウの計7コースで、基礎技術講習会を開く▼17年度に始まった同講習会は、順調に受講者数を伸ばしたが、コロナ禍のため減少。21年度は約300人とコロナ禍前の3割まで落ち込んだ。23年度は行動制限が解除されたことや、新たにインフラDX講習を開設したことから、過去最多の982人が受講した▼同講習会のカリキュラムの一つにICT・UAVがある。会合の中で、同協議会の副会長を務める東北地方整備局東北技術事務所の高橋秀典所長は、市町村の受講者推移を示し、「23年度は24市町村が新たに受講し、岩手県や宮城県からの参加が多い。両県が各市町村に周知した成果」とした▼24年度も東北6県で開催予定で、座学や現地での実習、見学も企画している。23年度の受講者に対するアンケートでは、実習が特に高評価を得ていた。官民問わず積極的に参加したい。
●つむじ風 3月19日
 県が大船渡市ー住田町間をまたぐ国道107号の改良として、新トンネルなどを整備する白石峠区間。事業は、主要構造物となるトンネルの詳細設計を担当する企業が決まり、着工に向け大きく前進していく▼区間の全体計画は、総延長が2・7㌔で、計画幅員はトンネル東側区間が6・5(9・0)㍍、西側区間が6・5(9・5)㍍。区間内には、2市町を結ぶトンネル2・3㌔と、住田町内に橋梁1橋を予定している。大規模事業評価での事業期間は31年度までで、総事業費は約94億円となっている▼現道約3・5㌔は、急勾配とカーブが連続。現道の南側をトンネルで直進するルートとすることで、走行上の課題を解消し、安全で円滑な交通を確保することができる。整備規模・効果ともに、地域を支える事業として期待されている▼白石峠区間を含む、大船渡市ー釜石自動車道・宮守インターチェンジ間は、暮らしや産業振興を後押しする重要な幹線横断道路だ。横断ルート全体の交通環境の向上に向け、まずは白石峠の解消を円滑に進めてほしいと思う。
●つむじ風 3月16日
 定期的に通っている病院では近ごろ、予約による診療が優先されるようになった。4月からは、休診日を増やす措置も行うという。医師も4月から、時間外労働の上限規制が適用となる職業の一つだが、対応に向けた取り組みなのだろうか▼4月から時間外労働の上限規制が適用となる建設業、運送業、医師。それぞれ抱える課題、背景などに違いはあるものの、人手不足という点は同様となっている。担い手や人材の確保が思うように進まない現状にある▼4月からの時間外労働の上限規制適用を控え、2024年問題がクローズアップされる場面が非常に多くなっている。現状を広く理解してもらうことは必要なものの、対応に苦慮している描写に、次代を担う人材は果たして建設業や運送業、医師の道に進みたいと思ってくれるのかと考え込んでもしまう▼2024年問題は、各業界の待遇などを見つめ直す機会にもなるものだろう。待遇などの改善に取り組み、快適に働くことのできる職場を形成したことなどについても、しっかりとクローズアップしてほしい。
●つむじ風 3月15日
 国土交通省社会資本整備審議会道路分科会事業評価部会は、国道4号水沢金ケ崎道路について「24年度新規事業化は妥当」と判断した。本県の中心を貫き、県内のみならず国内の産業経済を支える縦の大動脈づくりに向け、早期事業化が期待される▼達増知事は「自動車関連産業や半導体関連産業などの産業集積が進む県南地域において、立地企業の安定的な生産活動や円滑な物流の確保に大きな効果を発揮するものと考えている」と歓迎のコメント。早期に整備着手されるよう、沿線自治体などと連携していく考えも示す▼国道4号の4車線化が着実に進み、東北縦貫自動車道や三陸沿岸道路と合わせて、充実した縦軸が構築されている。横軸も東北横断自動車道釜石秋田線が完成。秋田自動車道の4車線化や国道106号宮古盛岡横断道路の「田鎖蟇目道路」「箱石達曽部道路」の整備も進む▼となれば「その先の国道46号も…」との声が挙がっても不思議でない。お隣の秋田県とも連携し、宮古から秋田までを貫く横の大動脈の実現を、国に対して強く訴えてほしい。
●つむじ風 3月14日
 県建設業協会(向井田岳会長)は、東日本大震災の教訓を踏まえ、3月11日を「防災の日」と設定している。7日には、広域的な災害を想定した「防災の日」災害情報伝達訓練を実施。本部・支部の役職員らは衛星携帯電話などを用い、被災支部への支援を想定した訓練を行った▼訓練は、岩手県沖を震源とするマグニチュード7・6の地震が発生し、沿岸北部などで震度6強を記録したとの想定で行われた。今回は、応援依頼先の支部を事前に非公開とするなど、初めてブラインド方式を導入した▼沿岸地域の支部は「重機や燃料、防塵マスク、破傷風防止のための革手袋が必要」などと本部に要請。本部は内陸地域の支部へ、次々と応援を依頼した。訓練後には、衛星携帯電話の更新の必要性など、さまざまな課題を洗い出した▼参加者からは「ブラインド方式で緊張感があった」との声も。向井田会長は「問題点を修正し、今後に生かしたい」と語り、訓練を進化させていく考えを示した。岩手の震災の教訓を確認する機会として、「防災の日」を大切にしたい。
●つむじ風 3月13日
 社会資本整備審議会道路分科会の第43回東北地方小委員会が開かれ、新規事業採択時評価対象の国道4号水沢金ケ崎道路が事業妥当となった。金ケ崎拡幅と水沢バイパス間に位置する3・5㌔を現道拡幅し、4車線化を図る▼東北の直轄国道は全線で約3200㌔で、1652区間に分割される。そのうち改築事業等の実施中以外の区間は807区間。交通課題と道路構造、防災・災害の観点から課題を抽出すると551区間。交通課題151区間のうち、具体な対策方針が決定している10区間の一つが同路線だ▼小委員会で、現道の状況をドローンからの画像や動画で紹介。冬季の交差点や側道から本線合流時の混雑状況が映し出された。委員は「動画による渋滞状況を見て、資料からは分からないリアルな状況を見ることができた」と評価した▼今後、本省の部会での審議結果などを踏まえ、最終的には24年度予算の国会審議を経て、事業化に向けて手続きが進む。県南部の国道4号は4車線化が進んでおり、水沢金ケ崎道路もスピード感ある事業展開が求められる。
●つむじ風 3月12日
 東日本大震災の発災以降、県事業で進めてきた復興工事は、今年度で大船渡市内の普金地区防潮堤が完工。残すは宮古市内の閉伊川水門のみとなり、現在、26年度の完成を目指し整備の進捗が図られている▼宮古市街地を経て宮古湾に注ぐ閉伊川は、震災発生時、河口部から河川堤防を越流した津波が背後の市街地を襲い、広範囲に甚大な被害をもたらした。市街地の津波対策として整備される同水門は、本体の延長が164・4㍍で、ゲート数は4門。カーテンウォールはTP+10・4㍍の高さで設置される▼水門に並行して、一般車両が通行可能な管理橋も整備される計画で、完成すれば水門両側の藤原地区│光岸地地区間が管理橋で行き来できるようになり、宮古盛岡横断道路の宮古港インターチェンジと、景勝地・浄土ケ浜とのアクセス性も向上することになる▼水門本体は左岸側が完成し現在、右岸側の基礎工を推進中。今夏以降でコンクリート工に取り掛かっていく見通しだ。市中心部を守る津波防護の要となるだけに、一日も早い完成を図ってほしいと思う。
●つむじ風 3月11日
 東日本大震災の発生から13年。きょう11日は当時を思い返す機会にもなるが、元日に能登半島地震が発生し、新年から東日本大震災を思い起こした読者も多かっただろう。11年の震災は未曽有のものだったが、能登半島地震もこれまでに経験したことのないような事象が多く起きているとされる▼能登半島地震では、復旧がいまだ思うように進まず、地震前まで営んでいたなりわいについて、「これを機にやめようかな」といった考えに傾く地元住民らの姿を、映像などを通して多く目にする。元の生活を取り戻すまでの時間を要すれば要するほど、なりわいの再生は厳しいものになる▼急がれはするものの、11年の震災で受けた支援への恩返しや震災の経験を生かした支援などを、どんな形で実行していくのが有効になるのか見えてくるのは、少し先というのが現実なのかもしれない。その際には、業界を挙げて支援に動きたい▼目に付きやすいハード面の復旧・復興が進捗したとはいえ、本県の震災からの復興も決して完遂したわけでない。次への備えも求められている。
●つむじ風 3月8日
 岩手河川国道事務所の1階ロビーに、能登半島地震への対応で石川県に派遣したTEC-FORCEの活動状況を紹介するパネルが展示されている。派遣隊の活動状況を周知することで、被災地に思いを寄せてほしいという願いもあるようだ。ご近所の誼で、近隣の公的施設も展示してくれればよいのに▼小紙読者には釈迦に説法だが、災害時に土砂や災害廃棄物を撤去し、命の道を切り開くのは地域建設業の役割。そしてその事実が正しく伝わっていないことを誰よりも知っているのは、いま当欄をご覧になっている皆さんだろう。だからといって被災地での「活躍」を大々的にアピールすることを是とするかとなれば、それはまた別の問題▼間もなく東日本大震災から13回目の3月11日。この間、建設業に対する社会的な認知度と好感度は本当に向上したのだろうか。ならば被災地で揃いのベストを着用すれば、建設業への好感度が上がるのか。そもそも建設業という産業に対して、社会全体がどの程度関心を持っているのか。少し遡って考えることが必要かもしれない。
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