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2024年
11月22日(金)
05:25

コラム集

●つむじ風 11月21日
 国土交通省と北海道・東北6県などが、入札契約制度や建設産業の課題に対する取り組みについて意見を交わした「24年度下期北海道・東北ブロック監理課長等会議」。同会議では、全ての市区町村で25年度中に週休2日工事が実施されるよう、働き掛け・助言に取り組むことなどを申し合わせた。公共発注体制の強化のテーマでは、全国の取り組みのうち、本県の事例を取り上げて情報共有した▼県では東北地方整備局と連携し、時間外労働の上限規制の周知をはじめ、週休2日工事の発注者指定型の導入や拡大、施工時期の平準化、書類の標準化―などを市町村側に説明。副首長を中心とする自治体トップに、対話による働き掛けを行った▼国交省の担当者は「他のブロックでは、あまり例のない取り組み。数字としても確実に効果が現れている旨、岩手県から報告を受けている」と評価していた▼毎年開かれている建設業地域懇談会などの場では、業界側からさまざまな声が上がる。引き続き業界の声を丁寧に整理し、発注者と受注者で共に課題を乗り越えたい。
●つむじ風 11月20日
 米大リーグのアストロズからフリーエージェントとなった菊池雄星選手が手掛ける全天候型複合野球施設「King of the Hill(キング・オブ・ザ・ヒル)」が完成。17日に花巻市南新田の現地でオープニングセレモニーが行われた▼菊池選手は「この場所からプロ野球やメジャーリーガー、野球以外でも社会を支えるリーダーを育てたい」と期待を込めた。会見では、「自分の能力に制限をかけるのは自分。夢を更新しながら、自分で問題解決できるかが重要」とも▼施設の説明を受けながら、「ボールを切って投げる」「打つ時はボールに右腰をぶつけるように」「腰を落として捕球するように」…感覚的な助言。雑誌に掲載された連続写真と解説を参考に、見よう見まねで取り組んでいた過去を思い出していた▼施設は野球に特化し、投球や打撃に関する最先端の測定機器を備えた施設。解析結果は体の仕組みを理解する上でも貴重なデータだろう。解析結果をほかのスポーツにも活用することで、岩手のスポーツ全体の底上げにもつながってほしい。
●つむじ風 11月19日
 盛岡市の水道事業が90周年を迎えることを記念し、17日に開かれた同市の水道フォーラム。当日はパネルディスカッションが企画され、水道事業の在り方について意見を交わした▼パネリストとして戦場カメラマンの渡部陽一氏は、「日本は水が豊富で、生活の中で安心して水に向き合うことができる」とし、「風呂や洗濯など、水を選択して使える生活というのは、諸外国からみるとまさに奇跡」と自身の経験から語っていた▼自社のビール製造で盛岡市の水道水を使う、㈱ベアレン醸造所の嶌田洋一社長もパネリストとして、「清潔な水が毎日、ふんだんに飲める大切さを実感する。水道水をビールを通して世界中に広めたい」と、改めて水道のありがたみについて話した▼長澤秀則同市上下水道事業管理者は、「施設の耐震化は最重点課題」とし、自然災害に備えていく考えを強調していた。豊かな水環境を次世代に伝えていくためには、市民の事業に対する理解が不可欠。水道の重要性を発信し続け、次の100周年に向け安全でおいしい水を守ってほしいと思う。
●つむじ風 11月18日
 初霜や初氷、初雪の便りが届き、冬期閉鎖する区間を有する路線で冬期通行止めの措置が講じられるなど、県内も着実に冬への歩みが進む。県内各地では、除雪機械の出動式が催され、作業を担当するオペレーターも気を引き締めていることだろう▼近年の出動式などでは、長年除雪作業に従事してきたオペレーターを除雪功労者として表彰することが多くなってきている。長年の従事に対する表彰に加え、作業に従事し始めた若手のオペレーターらを応援する思いで、若手技術者を表彰している地域も出てきている▼表彰は、除雪業務を周知する目的も含まれている。除雪は住民の足確保へ重要な仕事で、厳しい環境下での作業の一方、作業が未明の時間帯とあって、あまり知られてない状況から、除雪を広報する活動は近年、盛んになってきている▼県建設業協会青年部連絡協議会でも除雪に関して、マンガ冊子や「You Tube」での公開に加えて、今年度はポスターを製作。ポスターは、各地の部会員が知恵を絞り、広く県民の集まる場所に掲示されている。
●つむじ風 11月15日
 10月下旬に「米代川圏域流域治水プロジェクト」が策定されたことで、県内48全ての水系で流域治水プロジェクトの策定に至った。本県では21年度までに1級水系2水系と2級水系5水系で流域治水協議会を設置し、流域治水プロジェクトを策定。流域全体のあらゆる関係者が協働で、事前防災対策の取り組みを進めてきた▼近年の気候変動によって豪雨の発生場所や時間などの予測が困難になっており、既存のモデル水系以外にも豪雨の発生が懸念されていることを受けて、県は23年度から流域治水プロジェクトの対象を、「水系」から「圏域」に拡大した。県内全水系で流域治水プロジェクトが策定されたことを受けて、県では流域治水とその事業効果の普及啓発などに努めていく考え▼流域治水における「あらゆる関係者」の中には、国や県、流域自治体だけではなく民間も含まれる。主に自主防災組織などが対象となっているようだが、日頃から地域に根差して社会資本の整備と維持管理に当たり、事前防災と応急対応の両面で最も活躍できる存在を忘れていないだろうか。
●つむじ風 11月14日
 県と県建設業協会(向井田岳会長)が主催する「いわて建設業みらいフォーラム2024」は、25日午後1時から、盛岡市のトーサイクラシックホール岩手(県民会館)で開かれる。現場で働く技術者の事例発表やパネルディスカッションを通じて、建設業の魅力を高校生らに発信する▼パネルディスカッションでは、県建設業協会青年部連絡協議会会長の木下伸一氏がコーディネーターを務め、4人のパネリストとともに、建設業の面白さなどを高校生にPRする▼コーディネーターの木下氏は、7月に東北建設業青年会の会長に就任した。木下氏は建設専門紙による共同記者会見の際、「公共事業への理解を促進し、建設業の応援団を増やすことが必要」と語った。中高生らを対象とした体験型現場見学や意見交換を通じて、地域建設業の魅力を伝えたいとの思いも強調していた▼今回のみらいフォーラムにおいては、高校生からの質問コーナーも企画されている。「高校生から見た建設業の姿」を知ることで、これからの業界発展のヒントも探れるのではないだろうか。
●つむじ風 11月13日
 東北地方整備局岩手河川国道事務所は、県内2カ所の道の駅で、今年1回目の冬タイヤ装着率調査を6日に実施し、結果を公表した。石神の丘(岩手町)で27・7%、雫石あねっこ(雫石町)で27・1%、全体で27・3%だった▼調査台数は249台で、両道の駅駐車場の駐車車両を対象に、県内・県外ナンバーに分け目視で調査。県内ナンバーの装着率は24・7%に対し、県外は34・3%。過去5年で最も早く観測された主な峠の初雪日も紹介しており、国道106号の区界峠や釜石道の花巻付近は11月19日という▼国土交通省は、大型車の冬用タイヤへの交換時期に車輪の脱落事故が増加する傾向を踏まえ、「大型車の車輪脱落事故防止キャンペーン」を実施している。点検整備や増し締めの実施、さびたナットの清掃・交換、ナット・ワッシャーの隙間への給脂などを呼び掛けている▼車輪の脱落事故は、大型車に限らず普通車でも発生している。交換後50~100㌔をめどにタイヤの締め付け状態を確認するとともに、増し締め作業を実施し、脱輪を未然に防ぎたい。
●つむじ風 11月12日
 朝夕の気温が一段と冷え込み、山沿いでは雪の便りも聞こえるようになってきた。路面凍結の可能性も懸念されるところ。今週くらいから、雪道への備えが本格化していきそうだ▼東北地方整備局三陸国道事務所は5日、「早めの冬タイヤ装着運動」の一環として、管内2カ所の道の駅でシーズン1回目の冬タイヤ装着率調査を実施した。うち、道の駅「いわて北三陸」(久慈市)では、調査台数106台中、装着台数27台で装着率は26%。道の駅「みやこ シートピアなあど」(宮古市)では調査台数107台中、装着台数16台で、装着率は15%にとどまった▼2カ所合計では、調査台数213台に対し、装着台数は43台で、2割の装着率となった。特に県外ナンバーの装着率は、「いわて北三陸」で43%と高く、広域移動に伴う備えが進められているようだ▼雪が無くても凍結の恐れがあるため、同事務所からは早めのタイヤ交換が呼び掛けられている。峠部や川沿いなどは気象によって路面が変化しやすいだけに、万全な対策を講じ安全走行を心掛けていきたい。
●つむじ風 11月9日
 工業系学科に所属する高校生が在学中に目標とするものの一つに高校生ものづくりコンテストが挙げられる。技術・技能の向上、ものづくりへの意欲・関心を高め、技能労働者育成と工業教育発展に向けて開催されている。その存在は知っていたものの、今年初めて、実際に取材する機会を得た▼今年は7部門催され、取材した部門では、生徒おのおのが課題の作品を製作。どの生徒も大会での好成績を目指し練習を重ねてきたようで、優勝した生徒は、来年の東北大会での好成績に向けて、さらに練習を積んでいく強い意志を示していた▼審査員からは、「どの選手も良い作品で、甲乙つけがたく、時間内で製作できたかなどの違い程度」などと評価。「毎年、出来栄えが良くなっている」とも話していた。生徒数は年々減っているものの、一人ひとりのレベルは上がっているようだ▼資格取得の分野でも、県内には全国でも屈指の合格率の高さを誇る工業高校が多くある。こうした優れた工業高校生が地元業界へ進み、定着してもらえるよう受け入れる態勢を整えたい。
●つむじ風 11月8日
 ここ数日、世間の関心事はアメリカ大統領選挙一色。はて、前回のトランプ大統領が誕生した17年1月の本県は、と思い出してみると、東日本大震災からの復旧・復興工事がピークにあり、16年台風10号の本格復旧が視野に入り始めたころ。「国土強靱化」が重点ワードになるのはもう少し先▼ここで一度話題をチェンジ。大統領選挙に関する報道の中で出てくる「二極化」「分断」という言葉に、コルソン・ホワイトヘッド『地下鉄道』(早川書房)序盤の一文を思い出した人もいるのでは▼「惨めさには順番がある。惨めさのうちに仕舞い込まれた惨めさ。順に辿るようにできている」。とてつもなく不愉快だが、核心を突いた一文。惨めさの中に惨めさ、分断の中にも分断の入れ籠構造。そうそう単純ではない▼もう一度話題をチェンジ。建設業界でも「二極化」という言葉がよく出るが、こっちもシンプルな二極構造ではない。二極の中にも二極あり、その中にまた二極の入れ子構造。なかなか簡単にはいきませんな。と、せめて最初と最後だけは業界紙らしく。
●つむじ風 11月7日
 県内では、家畜伝染病の発生に備え、関係行政機関や建設業界による防疫対応の訓練などが行われている。先ごろは八幡平市内で、高病原性鳥インフルエンザの防疫措置の訓練が行われた。県建設業協会盛岡支部(樋下光支部長)の会員や県の職員らが参加し、危機対応能力を高めた。この他の地域においても、防疫措置の訓練や研修が企画されているところもあるようだ▼今年の5月に、洋野町内の養豚場で豚熱が確認されたことは記憶に新しい。県建設業協会久慈支部(岩瀬張敏行支部長)の会員らが総力を結集し、埋却溝の掘削など、夜通しで迅速な対応に当たった。防疫対応の後、岩瀬張支部長が今後の課題として「電柱や支障木の有無、実際に埋める場所の整理や試掘調査など、事前の備えが重要になる」と話していたことを思い出す▼今後の訓練でも、さまざまな課題を一つ一つ確認したい。従事者の視点に立てば、防護服を着用した状態での作業の実施など、実務レベルの課題もあるだろう。建設業が地場産業を支える存在であることも、改めて共有したい。
●つむじ風 11月6日
 国民の生命や暮らしを支える上下水道。国土交通省は、能登半島地震の教訓を踏まえ、上下水道システムの急所施設や避難所などの重要施設に接続する水道・下水道の管路等の耐震化状況の緊急点検を実施した▼その中で、給水区域内かつ下水道処理区域内における重要施設のうち、接続する水道・下水道の管路等の両方が耐震化されている重要施設の割合は約15%。本県は466カ所のうち39カ所で8%。一方、遠野市と二戸市、雫石町、岩手町、野田村では100%に達している▼緊急点検の結果を見ると、点検対象の上下水道施設の耐震化が十分でないことを示している。国交省は、全ての水道事業者や下水道管理者等に対して、今回の結果を踏まえた「上下水道耐震化計画」の策定を要請。上下水道施設の耐震化を計画的・集中的に推進していく考えだ▼いつ発生するか分からない自然災害。上下水道施設の耐震化と合わせて、代替水源の確保浄水場間・下水処理場間の連絡管整備など、災害時の代替性・多重性の確保についても進めていかなければならない。
●つむじ風 11月5日
 先日、数年前に取材した高校生に、施工現場で再開する機会に恵まれた。卒業後は地元建設企業に就職し、施工監理の仕事に携わっているようで、順調な成長はもちろん、建設業に従事し続けて頑張っている姿には、当時取材した立場としてもうれしい気持ちになった▼一方で、高校生当時に取材し、その生徒が就職した企業に、どうしているかを尋ねたなら、「離職して別の道を歩んでいる」と聞くこともたびたびある。新たな道で活躍していることが願われるが、やはり寂しい気持ちにもなる▼近年、若手労働者の離職率の高さが、さまざまな場面で指摘される。県建設業協会が調査したデータでも、34歳以下の離職率は増加傾向にあるのが見て取れる。35歳以上は、現段階で34歳以下ほどの傾向は見られないようだが、今後、高齢などを理由に離職者が多くなっていくことが懸念される▼担い手確保に向けて、さまざまな取り組みが進む。併せて、確保した労働者に従事し続けてもらう取り組みも急がれる。成長過程での離職は、さまざまな面でダメージが大きい。
●つむじ風 11月1日
 寒暖差の大きさに参っている。少し前までは上着がいらない日もあったはずだが、ここ何日かは朝のストーブが必須。日中でも日陰に入ると途端に寒くなる。暦の上では晩秋だから当たり前か▼昨冬は雪が比較的少なく、出勤前の雪かきで一日分のエネルギーを使い切るような日はほとんどなかったが、今冬はどうだろう。8月頃から「今年は雪が多そうだよ」という話が各所から聞こえていたけれども…▼9月末現在、県内建設業における労働災害による死傷者数は135人。前年同月から17人、増減率では11・2%の減。事故の型別で「転倒」が10人減少していることが、全体の減少に大きく寄与している。暖冬少雪の影響が大きかったようだ▼きょうから11月。12月1日からスタートする「いわて年末年始無災害運動」の準備期間でもある。県内における転倒災害の約6割が、12~1月に発生している。転倒災害をはじめとする冬季特有災害の防止は、年間の労働災害を減らす上での重要なポイント。気象条件を頼みとしない、納得のいく労働災害防止に努めたい。
●つむじ風 10月31日
 海沿いのインフラ施設と「ふれあい!・学ぶ!」ウオーキングin洋野が27日、洋野町種市で開かれた。県北広域振興局土木部(乙部智明部長)などが主催したイベントで、初めての企画。親子連れや地域住民ら、多くの人が参加した▼日曜日の開催ということもあってか、さまざまな年代の方々がウオーキングイベントに参加していた。参加者は午前10時に、同町の種市海浜公園シーサイドハウス前に集合。取材のため集合場所を訪れた際には、少し肌寒さを感じたものの、天候にも恵まれていたことから、歩き始めると体が温まった▼同土木部職員らは、水門などのインフラ施設が果たす役割を説明。地域住民らの安全・安心を確保するため、県内の社会資本の整備・維持管理が重要になることを訴えていた▼参加者はスマートフォンで写真を撮ったりして、楽しみながら施設を見ていた。久慈市内の小学校に通う児童と、ウオーキングを一緒に楽しむ保護者の姿も。幅広い世代にインフラの重要性を伝える―。社会資本整備を進める上で、地道な取り組みが大切だ。
●つむじ風 10月30日
 韓国発祥のeスポーツ「ドローンサッカー」。先日開かれた遠野市産業まつりで、NPO法人オヴェンセが主催し、体験会が行われた。会場を取材すると年齢や性別を問わず、同じ空間で楽しみを共有していた▼球状のプラスチックフレームに覆われた専用ドローンボールを使用。5対5で戦う最新戦略型チームスポーツ。ドローンボールを専用ケージ内のフィールド両サイドの空中に設置したリング状のゴールにいれることで、その得点を競う競技だ▼同じ向きに並び1対1で、3分間の試合をすることに。地上に置いた状態から試合が始まり、操作できると思っていると、動いていない機体が地上に。相手が操作している機体を自分が操作していると思い込んでいた。機体は浮いたものの、得点できなかった▼昨今では、コスト面や飛行制限など普及へのハードルが高くなっているのも事実。測量や点検、災害時の現場把握など、建設産業界でも普及が進んでいる。ドローンサッカーをきっかけに操作技術の向上ばかりでなく、建設分野への応用にもつなげたい。
●つむじ風 10月29日
 先週開かれた、盛岡市上下水道工事業協同組合による「管工事未来創造フォーラム」。当日のパネルディスカッションでは、水道分野で働く若手女性社員や技術者が、パネリストとして仕事でのやりがいや悩み、人材確保・育成について意見を語った▼女性パネリストからは、仕事を任せてもらえるようになってきたことへのやりがいや、住民対応などの場面で「分かりやすく丁寧な対応で良好な関係を築くことは、女性技術者として力を発揮できるところ」といった発言があった。人材確保では、若手社員に合わせたカリキュラムなど変化に対応していく大切さ、一方的な話し方や伝え方ではなく、若手に寄り添う必要性も指摘された▼他のパネリストからは「女性の感性を仕事で発揮し、男女で補え合える形になれば」、「女性社員や技術者同士で話す機会を設け、意見を出し合える輪を広げてほしい」といった声が上がっていた。上からの押し付けではなく、経営者として女性や若手の良さを引き出す努力、活躍できる場面を考える姿勢が求められているように思う。
●つむじ風 10月28日
 先日開かれた一関地方の住宅祭は、衆議院選や参議院補選の関係で、当初の予定から場所や日程を変更しての開催となった。今年度の会場は、例年開かれる一関ヒロセユードーム(一関市総合体育館)ほどの広さを有していないこともあり、出展企業が10社と例年の30社程度から絞り込んだ形となった▼今年度の住宅祭は、内容も一部変更になったものの、一関市の中心市街地で開催の利点を生かし、多くの家族連れで賑わった。最新の建築技術などの情報が提供され、ものづくりなどに関するイベントを子どもたちは楽しんだ▼一関地方の住宅祭は、かつて19年に台風の影響で中止となった。翌20年は新型コロナウイルス感染症で開催が危ぶまれたが、連続での中止だけは避けたいとの思いで、ウェブサイトを開設し、オンライン開催した経緯もある。今年度現地に出展しなかった企業の情報なども、ウェブサイトには掲載されている▼今回の場所、日程の変更も今後に向け、大きな経験となったはず。関係者らの思いが、関連産業の活気につながっていってほしい。
●つむじ風 10月25日
 県生コンクリート工業組合がまとめた24年度上半期の工組員企業の生コンクリート出荷実績は27万7829立方㍍で、前年度同期比3・2%の減とほぼ前年並み。24年度の出荷数量は前年度を9・7%上回る57万2000立方㍍の見通しとなっている▼東日本大震災からの復興需要が一段落したことで前年比減を続けてきたが、6年ぶりに前年度を上回る予測。底打ちしてのV時回復を望みたいところだが、22~23年度と連続して過去最少を更新したことから、予想通りの出荷でも震災前の建設氷河期と言われた10年度の実績77万3099立方㍍を約20万立方㍍、26・0%下回ることになる▼出荷の総量が減少していることに加えて、問題は需要の偏在。24年上半期の段階で県央、県南、沿岸で出荷量全体の89%を占めている。プラント1カ所当たりの損益分岐点は2万3000立方㍍前後とも言われており、多くの工場でこのラインを割り込んでいる可能性がある。今後は工場の集約化が進むことも考えられるが、これは同時に空白地帯の発生と表裏一体の問題でもある。
●つむじ風 10月24日
 県沿岸広域振興局土木部岩泉土木センターは、岩泉町の2カ所で「流域治水および台風第5号における治水効果に関するミニパネル展」を10日から21日まで開いた。8月の台風5号では、小本川の河川改修工事の治水対策の効果が確認できたことから、水位低減効果も合わせて情報発信した▼パネル展の会場の一つは、龍泉洞レストハウス。施設を訪問した際、休憩フロア前にある同町観光協会の事務局の方に話を伺った。「12日から14日の3連休は天気も良く、龍泉洞の入場者数は3日間で約4500人だった」と明るく笑った。観光客がレストハウスで休憩した際に、パネルも見ていたそうだ▼同土木センターの亀田健一副所長兼河川復旧課長は「最初は合同庁舎などでの開催を企画していた。3連休や龍泉洞まつりなどのタイミングで少しでもパネルを見ていただきたいと思い、この場所をお借りした」と語っていた▼より広く、社会資本整備の意義のPRを―。地域や出先事務所の視点を生かし、企画の工夫を凝らすことも重要だと感じるエピソードだった。
●つむじ風 10月23日
 国土交通省と建設産業人材確保・育成推進協議会は、建設産業の仕事に従事する人を対象にした作文コンクール「私たちの主張~未来を想像する建設産業~」を実施。435作品の中から青森県八戸市の建設会社に勤める女性の作品が、大臣賞を受賞した▼受賞作品の題名は「魅力に気がつく瞬間」。建設業とは無縁の女子高生が2年生の時に、学科長の勧めで三陸沿岸道路の建設現場を見学したことがきっかけだった。翌年に完成した道路を見学すると、「土木工事に関わる仕事に就くかもしれない」と思ったとも▼「やりがいを見いだせない職業よりは、大変だがやりがいがある職業に就いた方が幸せなはずだと思った」。先生の反対を押し切って、この職業に就こうと思った経緯だと振り返り、現在では魅力を伝える側の一人になりたいと決意を新たにしている▼普通の女子高生が現場見学をきっかけに就職を決め、不安よりもやりがいが大きくなり、さらに長く続けていきたいと思うようになった。改めて現場見学を通して見て、触れることの大切さを再認識した。
●つむじ風 10月22日
 環境省は脱炭素先行地域(第5回公募)として、9月下旬に全国で9件の提案を選定。東北ブロックからは陸前高田市と釜石市が選ばれ、カーボンニュートラルへの取り組みが展開されていく▼脱炭素先行地域とは、30年度までに民生部門(家庭部門および業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出実質ゼロなどの要件を、地域特性に応じて実現する地域。県内では今回の2市のほか、これまでに宮古市、久慈市、紫波町が選定されている▼釜石市が提案した内容は、釜石版サステナブルツーリズムがつなぐ地域脱炭素プロジェクト。カーボンニュートラルの取り組みを学べるワーケーション施設を整備するほか、環境配慮策を講じた地域共生型太陽光発電の導入などを計画する▼陸前高田市では、津波被災跡地への営農強化型太陽光発電の導入(ソーラーシェアリング)や、電気保安人材の確保などに取り組む。脱炭素化を通して、どのように地域資源を活用し、地域の課題を解決していくか。魅力的なまちづくりを図ることで、他のモデルになってほしいと思う。
●つむじ風 10月21日
 27日は衆議院選に加えて、本県では参議院の補選も予定され、すっかり選挙モードとなってきている。選挙戦も中盤に差し掛かり、情勢分析もなされてきており、さまざまな争点が挙がっているが、選挙後にどうなっていくか注視される▼近年の選挙では、組織の高齢化で以前のような選挙活動ができなくなってきていることなどを要因に、思うように支持が得られず、票数が読めないといった指摘も聞かれる。選挙の世界でも、着実に高齢化が進んでいるということだろう▼若者の政治への関心度が低く、いかに若者の投票率を上げるかが問題視されてもいる。次代を担う若手の存在は、あらゆる分野で重要視される▼先週末は、県建設業協会青年部連絡協議会(木下伸一会長)の交流会が二戸市内で開かれ、県内各地区の青年部会員が一堂に会した。各地域の取り組みを共有するなどしながら親睦を深め、今後の活動へ意識を新たにした会員が多かったことと思う。会員数も減ってきている状況だが、今後の本県建設業の飛躍に向けて、青年部にかかる期待は大きい。
●つむじ風 10月18日
 学問として身に付けた知識が実際の社会でどのように実装されているか、現場を見たり実務者の話を聞いたりすることで理解が深まるケースも多い。特にも実業系や理系ではそうなのでは▼県電気工事業工業組合久慈支部と同青年部久慈支部は県立久慈工業高等学校の生徒を対象に、第二種電気工事士の学科試験に向けた講習会を実施。青年部が中心となって、現場で実際に使用している資材や工具なども用いながら、用語の意味や問題の意図、間違いやすいポイントなどを詳しくレクチャーしている▼講習会では、実際の資機材を見て、現場経験に裏打ちされた指導を受けながら、生徒たちの表情が明るくなっていく様子が見て取れた。座学だけでは理解が追い付かなかった部分が解きほぐされ、知識も深まっていたようだった▼今回の講習は、生徒たちが社会人としての自分の姿を意識し、いずれは地元で働くことの動機付けにもつながるだろう。地元で学んだ若者が地元のインフラを支える人材として活躍する循環が生まれることで、学びの価値も一層高まるのでは。
●つむじ風 10月17日
 1974年の創立から、今年で50周年を迎えた県鉄構工業協同組合(佐々木史昭理事長)。組合員らは先ごろ盛岡市で開いた創立50周年の記念式典において、県内のインフラ整備や地域経済の発展のため、鉄構製品の品質の確保や安定的な供給に向けた決意を新たにした▼式典では、出席者に創立50周年記念誌が配布された。記念誌の「組合員の工事実績」というページを見ると、県内外のインフラの完成後・施工中の写真が並んでいる。東日本大震災からの復興事業関係としては、沿岸部の道路橋や水門など、地域の安全・安心を守る施設事例を掲載している▼記念式典の会場内では、多くのマスコミから以前取材を受けた溶接競技会のニュース映像を流し、技術研さんや担い手育成に向けた取り組みを振り返った▼佐々木理事長は「若い世代への鉄構産業の魅力のPRなど、50周年記念事業を実行してきた。事業の積み重ねが10年、20年と続く鉄構業界の発展の源」とも。鉄構産業をはじめ建設業界の発展は、社会資本整備や防災力強化を支える一つの骨格となる。
●つむじ風 10月16日
 8月22日に発生した台風10号は、全国各地に多くの被害をもたらした。気象庁は、災害をもたらした期間の観測データなどを取りまとめた▼今回は強い勢力の台風が、台風本体や周辺で太平洋高気圧の縁を回る暖かく湿った空気の影響を受け、それぞれ大気の状態が不安定となった。そのため、西日本や東日本の太平洋側を中心に、強い雨をもたらしたという▼8月29日に北上市付近で記録的短時間大雨情報を発表。盛岡市の薮川では期間中の1時間降水量が99・5㍉、24時間降水量が211・5㍉、72時間降水量は239・5㍉をそれぞれ記録。盛岡では1938年8月に記録した62・7㍉を更新し、8月27日に68・0㍉を記録した▼同庁が提供する「キキクル(危険度分布)」が、今回の台風でも機能した。キキクルは、危険度の高まりをプッシュ型で通知するサービスを5事業者が実施。国土交通省も、プッシュ型のサービスで高齢者の避難を支援する「逃げなきゃコール」を展開している。豪雨災害が激甚化・頻発化する中、積極的にこれらのサービスを活用したい。
●つむじ風 10月12日
 建設業や運送業、医師にも4月から時間外労働の上限規制が適用となることに伴い叫ばれた「2024年問題」。対応が困難として、廃業を検討しているといったことや、中には労働局から指摘されるまで対応しないとまで話す経営者がいたなどとの話を聞くこともあったが、実際どうだったのだろう。多くの企業は、さまざま苦労がありながら対応したと思われる▼24年も残り3カ月を切っているが、来年には2025年問題が叫ばれている。1947年~1949年生まれの団塊世代が75歳を超え、超高齢社会になっていく中、労働力不足がますます深刻になっていくとされる▼建設業では、特にも50歳以上の労働者の比率が高く、60歳以上の比率も高い中、10代~20代の比率は低いとされる。ベテラン層の大量退職が懸念されている▼対応策を見れば、担い手などの確保に向けたイメージアップの取り組みや適切な工期設定、労働環境の改善、DXの推進など、2024年問題と同様のものが多く挙げられている。一つひとつ取り組みを着実に進めていくしかない。
●つむじ風 10月11日
 先ごろ本県で開かれた日本型枠工事業協会の「北海道・東北連絡協議会」の席上、型枠工事業が抱える諸課題について意見交換した。労務費や法定福利費、週休2日(4週8休)への取組状況などが各道県から報告された▼目立った意見は「土木の現場は土日の休みが徹底されているが、民間建築で休めるのは日曜のみ」「大手の現場でも完全週休2日は困難」「地場ゼネコンの現場では土曜日に仕事をするのは当たり前」など。各県で「公共工事は毎週土曜日を休みに」などのスローガンを掲げるも、最前線で働く人たちの現実とはまだ乖離があるようだ▼本県からは「県建設業協会が第2・第4土曜閉所に取り組んでおり、公共では建築の現場も休めるようになっている」との報告があった。「さすが岩手は真面目に取り組んでいる」と素直に喜んでよいものか▼「スローガンは建前。現実は違うのさ」と言われればそこまでだが、週休2日の達成は目的でないし、スローガンを掲げただけで満足しては足元を見られるだけ。目的を見失わないように取り組みたい。
●つむじ風 10月10日
 国道340号宮古岩泉間整備促進期成同盟会(会長・山本正德宮古市長)は、12日に岩泉町内の会場において、道路整備の促進に向けた住民総決起大会の開催を予定している。沿線の地域住民ら、多くの関係者が一堂に会する貴重な場となる▼国道340号は、両市町の内陸部を結ぶ唯一の幹線道路として、地域の産業や経済、文化の交流などを支えている。県では20年度に和井内~押角工区、22年度に浅内工区の道路改良をそれぞれ事業化し、未改良区間の解消に向けた取り組みを鋭意進めている▼以前、総決起大会を取材した際には、地元小中学校の児童・生徒らが道路整備に寄せる思いを発表し、「夢と希望を運ぶ道路になってほしい」などと大きな期待を寄せていた▼国道340号は急勾配や急カーブが連続しており、間違いなく県内における交通の難所の一つだ。地域の安全・円滑な道路ネットワークを構築しながら、地域防災力を下支えする重要な路線として着実に整備を進めてほしい。総決起大会は、事業の必要性などを強く訴える機会となる。
●つむじ風 10月9日
 日本下水道管路管理業協会(長谷川健司会長)主催の下水道管路管理技術施工展2024が3日に開かれた。本県では初開催で、45団体がブースを出展し、最新技術の展示や工法などのデモンストレーションを行った▼当日は、肌寒くあいにくの天気だったが、各ブースでのデモや担当者らの説明で熱気にあふれていた。当日の開会式で、長谷川会長は開催に至るまで葛藤があったことを明かした。ある下水道工事において、豪雨で水位が急上昇し、作業員が死亡した事故が9月に発生したためだった▼その現場では、水位上昇後、5分で強い流れになったという。「現場の安全をどう担保するか意識すべき」と強い口調で訴えた。各ブースでは、安全管理に触れながら、各種工法などの説明を行っている様子が見られた▼下水道をはじめ道路や橋梁など社会資本は、住民の安全・安心な生活を支えている。それらの技術は、日進月歩で革新が進んでおり、取材を通しても感じている。技術革新により大きな恩恵を受けるが、安全性を確保した上での技術でなければならない。
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